だれでも知っている道端の雑草といえば、ねこじゃらしを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
ねこじゃらしの標準和名はエノコログサであり、漢名では狗尾草(えのころぐさ)と書きます。また英語では「フォックス・テイル」と呼ばれています。
「エノコログサ」も「狗尾草」も犬のしっぽという意味であり、「フォックス・テイル」はきつねのしっぽ、どれも穂のふさふさとした部分から動物のしっぽを連想して名づけられました。エノコログサは世界中の広い地域で分布していますが、文化や人種、言語が異なっていても連想するものが一緒というのは、なんだかうれしい気持ちになります。
そしてこのエノコログサ、実は普通の植物にはない高性能な光合成システムを持っているのです。
この光合成システムがあることで、二酸化炭素を濃縮して光合成をおこなうことができるため、光合成能力は通常の二倍まで高めることができるといわれています。圧縮した空気を送り込むことで出力を上げるという発想は、さながらターボエンジンのようです。
イネ科の雑草の多くはこのシステムを持っているため、高温・高日照の夏になると、爆発的な成長を見せます。
しかし逆に燃料を多く必要とするため、低音・低日照が続くと、一気に弱ってしまいます。
身近な雑草も、名前の由来や意外な性質を知ることで、少し見る目が変わってくるのではないでしょうか。