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ビオトープのアオミドロ対策と、三重県在来水生植物による再生を考える

  • 執筆者の写真: 三重県剪定伐採お庭のお手入れ専門店 剪定屋空
    三重県剪定伐採お庭のお手入れ専門店 剪定屋空
  • 5月25日
  • 読了時間: 6分

更新日:5月29日

こんにちは、剪定屋空の飯島です。今回は、大和ハウス工業・三重工場様敷地内にあるビオトープで発生したアオミドロを除去し、生態調査などを行いました。



アオミドロとは?基本的な特徴と見分け方

回答:アオミドロは糸状の緑色藻類で、富栄養化した水域に発生する自然現象です。


アオミドロは、ホシミドロ目ホシミドロ科アオミドロ属に属する藻類の総称で、細い紐のような見た目で水草や壁などあらゆるところから発生します。触るとヌルヌルした感触があり、細胞内の葉緑体がリボン状で、螺旋形に一列に並んだ状態の糸状藻が特徴です。



ビオトープのアオミドロ対策と、三重県在来水生植物による再生を考える

2025年3月2日の自然観察会の時に撮影



タモロコ、ウキゴリ、オイカワ、マドジョウ、スジエビヤゴ、ギンブナなどが生息しておりとても良い環境ですが、魚の排泄物や落ち葉の分解で水中の窒素・リンが増加することによりアオミドロが発生してしまいます。



なぜアオミドロが発生するのか?原因の解説


回答:アオミドロ発生の主原因は富栄養化(窒素・リンの増加)と日照条件です。



アオミドロ発生の5大原因


1. 富栄養化による栄養過多


水質が富栄養化している状態で、アオミドロが成長するのに必要な窒素やリンなどの栄養素が過多になると発生しやすくなります。


具体的な富栄養化要因:


  • 魚の排泄物や落ち葉の分解

  • 餌の食べ残し

  • 有機物の蓄積


2. 日照条件


日光が良く当たる場所で増えやすく、強い光や日当たりの良い所で発生します。少しの栄養と光があれば繁殖でき、一度繁殖しはじめると栄養分がなくても繁殖し続けられるのが特徴です。


3. 水流の停滞


流れが少なく水が停滞しているところにも発生します。


4. 水温上昇


強い日差しで、水温が高い環境では繁殖が活発化します。


5. 生態系バランスの崩れ


水生植物による自然な栄養塩吸収が不足している状態


剪定屋空の調査データ: 2025年3月2日の自然観察会時の調査では、タモロコ、ウキゴリ、オイカワ、マドジョウ、スジエビヤゴ、ギンブナなどが生息しており、生物多様性は良好でしたが、魚の排泄物や落ち葉の分解により水中の窒素・リンが増加してアオミドロが発生していました。

アオミドロ除去作業

また日当たりの良い所や流れが少なく水が停滞しているところにも発生します。


三重県ビオトープ管理

アオミドロの撤去方法はレイキや網でかき取りながら撤去していきます。



アオミドロ

かなりの量がとれました。一度大きなプラケースにいれてから生物などがいないか慎重に確認していていきながらアオミドロと選別していきます。


三重県ビオトープ管理

今回確認できた植物や生物は


ナガバオモダカ 花:5月


ナガバオモダカ


水蓮 糸トンボがくる


睡蓮


コウホネ の上に糸トンボが2匹




ミソハギ


ミソハギ


ホタルイ 糸トンボが産卵する


ホタルイ

ワルナスビ 外来種 トゲあり


ワルナスビ


コガネグモ



コガネグモ


サカマキガイ 大量に増える 汚くてもいる

浄化槽では微生物も食べてしまうため良くない




フナの稚魚



糸トンボ

などが確認できました。


三重県在来水生植物による生態系再生


今後アオミドロ自体を少なくしていくには定期的な管理と合わせて、在来種の水生植物を植えることも重要かと思います。


在来種の水生植物を植えることで、自然な栄養塩吸収と生物多様性の維持が目指せます。



三重県では、以下のような水生植物が確認されています。


抽水植物(挺水植物)


水辺や浅瀬に根を張り、水面上に茎や葉を伸ばす植物です。


ミズアオイ(Monochoria korsakowii)美しい青紫色の花を咲かせる一年草で、湿地や水田に自生します。


オモダカ(Sagittaria trifolia)矢じり形の葉が特徴的で、湿地や水田に広く分布しています。


ミクリ(Sparganium japonicum)細長い葉と球状の花序を持ち、池や川辺に生育します。


ヒメガマ(Typha angustifolia)細長い葉と特徴的な穂状の花序を持ち、湿地に自生します。


浮葉植物


水中に根を張り、葉を水面に浮かべる植物です。

ヒシ(Trapa japonica)四角形の浮葉と硬い果実が特徴で、池や沼に生育します。

ジュンサイ(Brasenia schreberi)ゼリー状の粘液に包まれた若芽が食用とされ、池や沼に自生します。


沈水植物


水中に完全に沈んで生育する植物で、水質浄化や酸素供給に寄与します。

イバラモ(Najas marina)細かく分枝した葉を持ち、湖沼や池に生育します。

イトモ(Potamogeton pusillus)細い茎と葉を持ち、流れの緩やかな水域に自生します。

ミズスギナ(Rotala hippuris)杉の葉に似た形状で、水田や湿地に生育します。

ササバモ(Potamogeton malaianus)笹の葉のような形状で、池や沼に自生します。


浮遊植物


水面に浮かび、根を持たずに漂う植物です。

ウキクサ(Spirodela polyrhiza)小さな葉が水面に浮かび、急速に繁殖します。

サンショウモ(Salvinia natans)小さな葉が対になって浮かび、湿地や池に自生します。



ミズスギナ(Rotala hippuris)絶滅危惧IB類に指定されており、湿地や水田に自生します。

イバラモ(Najas marina)絶滅の可能性が高いとされ、湖沼や池に生育します。

ミズニラ(Isoetes japonica)滅危惧II類に指定され、湿地や池に自生します。

タヌキモ類(Utricularia spp.)食虫植物であり、湿地や池に生育します。


これらの在来種の水生植物は、ビオトープの生態系維持や水質浄化に寄与します。特に、抽水植物や沈水植物は水中の栄養塩を吸収し、富栄養化の防止に効果的です。また、浮遊植物は日陰を作り、アオミドロの繁殖を抑制する役割も果たします。


ビオトープの設計や管理においては、これらの在来種を積極的に導入・保全することで、持続可能な生態系の構築が可能となります。



ビオトープ管理はなぜ必要?生態系保全の意義

回答:ビオトープ管理は生物多様性保全と持続可能な生態系維持のために不可欠です。



ビオトープ管理の4つの重要な意義


1. 生物多様性の保全


特定の生物群集が生存できるような、特定の環境条件を備えた均質なある限られた生物生息空間として機能します。


2. 教育的価値の提供


環境教育のためにビオトープを創ることで、自然への理解を深めます。


3. 都市部の生態系復元


すでに都市化した場所や生物の生息場所が無くなった場所にビオトープを創る役割があります。


4. SDGs達成への貢献


「11.住み続けられるまちづくりを」「13.気候変動に具体的な対策を」「14.海の豊かさを守ろう」「15.陸の豊かさも守ろう」の4つに関わる重要な取り組みです。



ビオトープ管理

アオミドロは、ビオトープのバランスが崩れたサインです。単なる駆除に留まらず、在来水生植物を植えて栄養塩を自然に吸収・固定し、生態系全体のバランスを考える生物多様性を支える地域に根ざしたビオトープ一緒に進めていきます。


剪定屋空では、ビオトープ管理から人工巣洞設置まで、生物多様性保全に特化したサービスも提供しています。



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