今季NHK朝ドラ「らんまん」も終盤を迎えておりますが、この本「植物一日一題」は主人公のモデル「植物学の父」牧野富太郎博士の随筆集(エッセイ集)として出版された書籍です。
第二次世界大戦終結後、昭和21年8月17日から毎日一題、植物を題材とした文章を書留め、合計100題!
一題一題は短い文章なので、どのお題から読むも自由。気の向いた植物名のページをパラっとめくって気負いなく読める感じです。タイトルは「馬鈴薯とジャガイモ」「藤とフジ」などなど。植物名に関する歴史や独自見解、ドクダミや無花果、ヒマワリの種や草餅など食べものの話にも広く及んでいます。
特に「ジャガイモのことを馬鈴薯と言うなかれ」「藤とフジは違う」といった植物名に関する記述(というか怒り?)も多く、誤字や間違いをバシバシ指摘しておられます。
先輩学者や著名人の勘違いや学識のなさをバサバサと斬る、容赦のない文章にちょっと驚き、その熱に圧倒され笑ってしまいそうにもなる。正直、この個性的な文章には好き嫌いもあるかとは思うのですが、植物の名前や性質に興味のある人はちょっと覗いてみるのも楽しいのでは?
文章のほうはそんな感じですが、どこのページもちりばめられた、緻密かつ繊細な牧野博士直筆の植物スケッチはやはり圧巻。この絵を見るたびに、どれだけ植物に愛情を注いでどれほど植物に熱中して観察していたのか思い知るばかり。
その情熱と愛情、ちょっと偏屈かつユーモアあふれる人柄を垣間見ることができる興味深い一冊ではないでしょうか。
よかったらチェックしてみてくださいね。
Amazon: 植物一日一題 (ちくま学芸文庫 マ-29-1)
NHK連続テレビ小説 「らんまん」
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