鮮やかな黄色がかった美しいオレンジ色。魅了される美しいカラーの花をもつ紅花(ベニバナ)。
染物の染料として使われる他、サフラワー(紅花油)として食用にも利用されています。
キク科ベニバナ属、地中海沿岸、エジプト、西アジアを原産としていますが、日本にも飛鳥時代あたりのかなり古い時代には渡来していたと言われます。
別名の和名に「末摘花(スエツムハナ)」があり、黄色や赤色の染料を得るために茎の末につく花を摘んだことに由来するとても風情ある素敵な響きをもつ名前。そして、スエツムハナと聞いて「源氏物語」を思い起こす方もいるのではないでしょうか。光源氏が思わず見入ってしまうほど個性的な容姿、鼻が長く赤い風貌から末摘花=紅花(紅い鼻)と呼び名をつけられたお姫様が登場します。
意味合いからすると光源氏もかなり失礼なあだ名をつけたものだとカンに触るところですが、儚げで清楚で可愛らしいイメージの花の名は、その後、須磨に流され不遇の身となった光源氏のことをずっと想い待っていた誠実で純粋な姫の姿に重なります。
健気さ一途さに心を打たれた光源氏、末摘花のおかげで本当に美しいものとは何なのか、感じるところがあったのではないでしょうか。
染料、オイルとして活用される紅花は、更年期症状など婦人科系の症状、血行促進や生理痛・冷え性の緩和にも効能があるとされ、ドライハーブは紅花(コウカ)とも呼ばれお茶や料理にも使われます。
春に植える種からも育ち7月~9月頃に開花する夏の花。切花やドライフラワーとしての観賞用にも食用薬用にも優れる植物、ガーデニングやショップで紅花・末摘花の魅力に触れてみませんか。