繊細で可憐な雰囲気のあるアネモネ。
キンポウゲ科アネモネ属(イチリンソウ属)、ヨーロッパ南部から地中海東部を原産とする多年草。古くは十字軍や巡礼者がパレスチナからヨーロッパに運んだことで、イギリスやオランダで品種改良が進み、現在では100種以上のアネモネがあるそうです。
一般的にアネモネといえば19世紀に創られたアネモネ・コロナリアを指し、和名には「牡丹一華(ボタンイチゲ)」「花一華(ハナイチゲ)」という素敵な呼び名もあります。
地下の塊根から茎をスラリと伸ばしその先に、ひとつの花がパッと咲く、その姿を「一華」と表現、素敵な名前ですね。
ゴージャス感のある八重咲もありますが6~8枚ほどの薄く繊細な花びら…のように見える部分は実は鰐(ガク)の変化したもの。あんなに美しい色彩をもちながら「花びらは存在しない」という不思議な植物でもあります。
開花期はまだ寒い時期から春、4月5月頃がメインとなりフワフワと風に揺れる優雅な姿、ギリシャ語で「風」を語源とするアネモネという言葉、英名もWind Flower、まさに風の花のイメージは世界共通といったところでしょうか。
春の開花が終わると風に散ってしまうかのように枯れ、まるで痕跡を消すかのように地上部には何も残らない。でも実は球根で休眠して夏越し。また秋になると発芽して次の春には美しく咲く、繊細な雰囲気とはウラハラな逞しさも。
花言葉には「はかない恋」や「恋の苦しみ」など壊れそうな繊細さが表現された言葉も多いですが、海外では潔く枯れてはまた咲くその様子を「復活と永生の象徴」と捉え、美しく儚くもあり永遠でもある存在として愛されている植物です。