秋の山野草の代表格でもある美しいブルーの花、リンドウです。日本には北海道から近畿地方の草原に自生するエゾリンドウをはじめ20種類ほど、世界では400種類あるともいわれ園芸種の品種改良も盛んな人気植物です。

別名に「竜胆(りんどう)」「疫病草(えやみぐさ)」があり、竜胆の意味は胃腸薬などに使われる根の部分の薬効成分の味が「同じく生薬として使われる熊胆(熊の胆のう)と同じかそれ以上の苦味がある」ことから。竜の胆のう=りゅうたん、クマ以上、竜の胆のうほど苦い!という意味合いがあるようです。とはいえ「竜胆」=りんどう と読むのはなかなか難易度が高いですよね。
疫病草(えやみぐさ)の方は、「疫病を止める」草という意味から。リンドウの根を原料とする漢方薬は、消化不良や食欲増進、解毒に効果があるとされます。また別の説では、あまりの苦さに「笑み(えみ)が止まってしまうから」という由来も。
効き目はありそうですが…、どちらにしても相当苦い薬には違いないということでしょう。
花言葉の「正義」や「勝利」は、おそらく薬効成分からの強靭なイメージ。そして見た目の楚々とした和の雰囲気からなのか、少し情緒的で意味深そうな「悲しんでいるあなたを愛する」という言葉も。
古くは枕草子や源氏物語にも登場し愛された花、リンドウ。秋が少しずつ深まりつつある時期に清楚な雰囲気ながら華やかなブルーカラーが目を惹く魅力的な植物です。
リンドウ:リンドウ科 / リンドウ属 原産地 日本(本州・四国・九州)落葉性の山野草 春咲きの品種もありますが、一般的には秋咲きで開花期は9月下旬~10月中旬