スズメバチ・アシナガバチが巣を作る高さと降水量・大雨の関係
- 三重県剪定伐採お庭のお手入れ専門店 剪定屋空

- 2 日前
- 読了時間: 3分
蜂の巣が低い年は大雨になる、と言われてきた。
庭の仕事をしていると、年によってやけに低い場所に蜂の巣が多いと感じることがある。
石垣の隙間、生垣の根元、切り株の近く。そういう年に限って、梅雨が長かったり、秋に大雨が来たりする。
そんな経験が積み重なって、この言い伝えは語り継がれてきた。
今年もそれを感じている。

1998年、アシナガバチ(Polistes chinensis)の巣の位置選択を調べた学術論文がある(Ethology Ecology & Evolution 誌掲載、doi:10.1080/08927014.1998.9522839)。
結論は明確だった。
蜂は将来の気象を予測して営巣場所を選んでいるのではない。
今の環境—捕食者のリスク、振動、湿気、餌場までの距離に基づいて選んでいる。
では今年、なぜ低い場所に巣が多いのか。
今年は巣が低いところにあるものを何個も確認してます。

キイロスズメバチの巣と生態

今年の三重県の気象データを気象庁の津観測所(観測所番号47651)で確認すると
2026年1月の降水量は0.0mmだった。平年の1月は40〜60mm程度降る(気象庁平年値)。その雨がほぼゼロだった。
これが何を意味するか。
スズメバチとアシナガバチの女王蜂は、毎秋に交尾を終えたあと、たった一頭で越冬する。
土の中、朽木の隙間、枯れ草の下で春まで眠る。その間に女王蜂を脅かすのが、低温と、土壌中の菌だ。
乾燥した冬は、菌の感染リスクを大幅に下げる。
加えて2026年4月の降水量は191.5mmと、かなり多かった(同観測所データ)。植物が一気に成長し、イモムシや小型昆虫が爆発的に増えた。蜂にとって、これは餌場の爆増を意味する。
結果として今年は、越冬に成功した女王蜂の数が例年より多く、そのうえ餌が豊富という条件が重なった。
巣の数が多い。そして各巣が大きく育ちやすい。
女王蜂が増えると、営巣場所の競争が起きる。
蜂が好む場所は、高い場所にある大きな樹洞や、密な枝の集合部だ。そこから先に埋まっていく。競争に負けた女王蜂が、普段は選ばれない場所に巣を作り始める。石垣の隙間、排水管の周辺、生垣の内側、地面に近い切り株。
巣が低い年は、蜂が増えすぎた年だ。天気予報ではなく、蜂の世界の人口過密を示している。
民間伝承と結果は似ているが、理由はまるで違う。
アシナガバチはこぶし大の巣を作り、イモムシを専食する。比較的おとなしく、巣を直接刺激しなければ攻撃してこない。
スズメバチはバレーボール大以上になる巣を作り、より広い種類の昆虫を捕食する。そしてアシナガバチ自身も獲物にする。
今年アシナガバチが増えると、それを追いかけるようにスズメバチも増える。食物連鎖が一段階上にも波及する。
庭の仕事で最も気をつけるべき時期は今から秋にかけてだ。
草刈りや剪定の前に、足元と低木の内側を必ず目視する。生垣の刈り込みでは、刃を入れる前に一度手を止めて確認する。今年は特に、普段は巣がないような場所にも目を向ける必要がある。
個体数が多い年は、7月を待たずに大型の巣が出現する。8月から10月が最も危険な時期で、巣の規模が最大になる。
発見した場合は、専門の業者に依頼することが最善ですが庭管理の際には全て取り除いています。
蜂の巣の高さが語るのは、過去の冬の乾燥と、春の雨の恵みと、命が増えすぎた年の記録だ。その記録を読み解けるかどうかが、庭の仕事をする者の目の確かさだと思っている。
お庭全体を長い目で見ていくと、蜂の存在もまた庭の一部だと気づく。





