近所のお宅の塀から顔を出していたのは花期が終わり、そのままの姿を保ちながら枯れゆく紫陽花(アジサイ)の花。梅雨時期の瑞々しい花姿も美しいですが、ピンク色の花色も残しながらアンティークカラーへと変化し、散ることなくドライフラワーのようになお咲いている姿も印象的です。

この「紫陽花が枯れる」ことを「しがみつく」と表現するのだとか。
生物的にいうと花のような部分は実は鰐片(がくへん)なので散ることがないというしくみであり、翌年の開花のためにはしっかり剪定してあげる方が良いのですが、冬になってもじっとそこに佇んでいる紫陽花を「しがみつく」と表現する日本語はしっくりくる気がします。しがみつくというと「執着」に繋がる少しマイナスなイメージも浮かびますが、寒い冬を越し翌春を待つ強い気持ち、生きている強さも感じとれます。
調べてみると、花が枯れる表現には、桜が「散る」、牡丹が「くずれる」、椿が「落ちる」、梅が「こぼれる」、菊が「舞う」と美しい表現が多い。植物の生や死を情緒的に受け止めていた日本人の感性の豊かさ、そして植物と人の距離が近かったからではないでしょうか。
咲き方も枯れ方も千差万別でその植物なりの意味がある。「しがみつく」のも悪くない、人生もそれぞれ、咲き方も枯れ方も人の生き方に通じるかもしれませんね。夏は夏の、冬は冬の、また違う情緒と美を感じさせてくれる紫陽花です。
紫陽花(アジサイ):アジサイ科・アジサイ属、日本原産のガクアジサイが西洋に渡り西洋アジサイとして逆輸入された植物です。学名Hydrangeaはラテン語で「お水の器」、水を好む性質に由来します。
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