夏の渦巻き。除虫菊から生まれたあの虫よけ線香 キク ※画像はフウシャギク


花火がドーン、ゆらりと一筋の煙が立ち昇る、夏の風物詩(昔のCMで若い方はご存じないかもしれませんが・・・)蚊取り線香。
うずまき型の線香に火をつけ虫を避ける。
電気式や電池式、スプレー式、置くだけの虫よけ剤が主流となっている現在、煙のでる蚊取り線香を利用しているご家庭は少ない?…と思いきや、意外にも安定した需要。
家庭用殺虫剤の市場は全体で約1,200億円規模とされ、蚊取り線香はいまもその一角を占めています。
アウトドアやガーデニング、ペット用の屋外、長時間用の線香などの需要、また天然成分回帰もその理由のようですね。
蚊取り線香にジョチュウギクが使われた経緯は、1886年にKINCHO(大日本除虫菊)の創業者がアメリカから種を入手し、その後線香業者と出会ったことで除虫菊の粉末を線香に練り込むというアイデアが生まれ、1890年に世界初の棒状蚊取り線香誕生。

ところで、なぜあの形は渦巻きなのでしょう。
最初の蚊取り線香は、棒状でした。
長さは20センチほどで、燃える時間はおよそ40分。
一晩を越すにはあまりに短く、かといって単に長く伸ばせば折れやすく、燃えている途中で倒れる危険もありました。
転機は1895年です。
創業者の妻、ゆきさんが、とぐろを巻いた蛇を見かけた。
その形から、渦巻きにすればどうか、と夫に伝えたのだそうです。
渦にすれば、同じ場所に長い線香を収められて、しかも倒れません。
いまも世界中で使われているあの形は、この一言から生まれました。
ちなみに、渦は右巻きです。
手で巻いていた時代、右利きの職人が多かったからだと言われています。
夫婦でやっている仕事に、こういう話が残っているのはいいなと思います。
現場の困りごとを見ていた人の一言が、百年以上あとの夏まで残っている。

除虫菊(シロバナムシヨケギク)はバルカン半島の原産で、日本国内の栽培も増加しましたが、化学合成品の開発により現在ほとんど栽培はされていません。
(注意:画像の花はフウシャギク。ジョチュウギクではありません)
現在、マーガレットのような可憐な花のジョチュウギク(シロバナムシヨケギク)は、鑑賞用として流通されています。
花の子房には天然の殺虫成分であるピレトリンが含まれますが、残念ながら植えているだけでは虫よけの効果はないようです。
これは、前に書いた蚊連草とまったく同じ話です。
香りや成分を持っている植物でも、そこにあるだけでは働きません。
葉をこする、煙にする、抽出する。
人の手が加わって、はじめて虫よけになります。
私たちが夏の現場で腰に下げているのも、結局この渦巻きです。
風のある日は煙が流れて効きませんし、藪の中では気休め程度。
いちばん効くのは、その庭の水たまりをなくして、風を通しておくことだったりします。
道具は道具として頼りにしつつ、庭そのものを蚊の出にくい状態にしておく。
夏の庭仕事は、だいたいこの両輪です。

夏のお庭が藪になってきた、風が通らないというときは、お庭の剪定・管理のご相談からお声がけください。三重県で、蚊の出にくいお庭になるよう、手を入れています。
ジョチュウギク(除虫菊):キク科 ヨモギギク属 原産地:バルカン半島 流通名:ピレスラム、白花ムシヨケギク、赤花ムシヨケギク 草丈60~80cm 初夏に開花します。
最終更新: 2026年08月







