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三重県のクビアカツヤカミキリ|被害9市町と備える5市町。庭のサクラ・ウメの見方

執筆者の写真: 飯島 一郎
飯島 一郎
15 分前
読了時間: 8分

三重県のクビアカツヤカミキリについて、2026年9月11日、国が防除戦略を決めました。


全国の市町村を4つに区分し、区分ごとに、やることを変える。その区分表に、三重県の14市町の名前が載っています。


私たちはは三重県菰野町で庭の仕事をしています。 お客様のお庭にサクラやウメがあるお宅も多い。


だから、この14市町がどこで、それぞれ何をすることになっているのかを、公開されている資料から調べました。


三重県の14市町が、国の区分に入っている

三重県の14市町が、国の4つの区分のどこに入っているか。参考資料2から一つずつ写しました
三重県の14市町が、国の4つの区分のどこに入っているか。参考資料2から一つずつ写しました

被害が出ているのは9市町です。

まん延地域が4、被害最前線地域が5。


残りの5市町は、まだ被害が出ていません。 隣が被害地域なので、備える側として名前が載っています。

菰野町もここです。


飛び地的被害地域は、三重県にはありません。

離れた場所で孤立した被害が出る、という段階にはまだなっていない。


まん延地域 桑名市、木曽岬町、朝日町、川越町


県の北の端、木曽三川に近い4市町です。


ここでの目標は、根絶ではなく、生息密度を下げることです。

国の資料も、まん延地域では根絶は現実的でないとして、被害を減らす方向に切り替えています。


木曽岬町は、鍋田川堤の桜並木で生息が確認されていると町が公表しています。


町は成虫と卵に薬剤の樹幹散布、幼虫には食入孔と脱出孔への薬剤噴霧と、地際への樹幹注入を行っている。

並木を守るために、実際に手を動かしている自治体です。



被害最前線地域 津市、四日市市、名張市、いなべ市、伊賀市


ここが一番きびしい区分です。

目標は、これ以上、外に出さないこと。


まん延地域より踏み込んだ対策が求められます。

被害木の早期発見、伐倒と処理、成虫が出る前の防除。


ここが未被害地域への入り口になるので、優先的に対策を行う、と国は書いています。


四日市市はうちの主要な仕事先です。津市、いなべ市も同じ。


出典 クビアカツヤカミキリ防除戦略(PDF)/参考資料2 全国の市町村の地域区分(PDF・令和8年9月時点) 第2回クビアカツヤカミキリ対策本部・2026年9月11日


隣接する未被害地域 松阪市、鈴鹿市、亀山市、東員町、菰野町


まだ被害は出ていません。でも、隣で出ている。


やることは3つ。

見つける体制をつくること。

住民が通報できるようにすること。

そして、入ってきたときにすぐ動けるようにしておくこと。


菰野町は、うちの事務所がある町です。

まだ出ていない側にいます。



三重県で、クビアカツヤカミキリの被害はどう広がってきたか


三重県で何が起きてきたか。2019年の木曽岬町から、2025年の果樹園のウメまで
三重県で何が起きてきたか。2019年の木曽岬町から、2025年の果樹園のウメまで

年で並べると、動きがはっきり見えます。

2019年、木曽岬町で県内初の確認。


2024年10月、桑名市と四日市市の街路樹と公園のサクラで寄生が確認されました。

5年空いて、南に下りてきた。

2025年6月、北勢地域の果樹園のウメ4本にフラスが出ました。

6月23日に幼虫を採って、クビアカツヤカミキリと確定しています。

県内の農地で被害が確認されたのは、これが初めてです。


サクラから始まって、7年目に果樹園へ移った。

これが三重県で起きたことです。


三重県が2026年8月10日時点でまとめた5キロメッシュの地図を見ると、北勢に点が集まり、伊賀と中勢にも飛んでいます。

南のほうにはまだほとんどありません。


出典 三重県 特定外来生物クビアカツヤカミキリに関する情報(みどり共生推進課)/令和7年度病害虫発生予察特殊報第1号(2025年6月26日・三重県病害虫防除所)/令和6年度病害虫防除技術情報第18号(2024年11月26日)


全国では、この1年で6県増えています。


三重県だけの話ではありません。全体の数字も見ておきます。


全国の被害地域。まん延地域を、被害最前線地域が帯のように囲んでいる
全国の被害地域。まん延地域を、被害最前線地域が帯のように囲んでいる

被害が確認されている都府県は22。市町村は309です。


国の資料は22都府県、300を超える市町村という書き方をしています。

参考資料2に市町村の名前が区分ごとに全部載っているので、一つずつ数えました。

飛び地的被害地域が9、被害最前線地域が113、まん延地域が187。合わせて309です。

都道府県ごとの被害市町村数。埼玉県57が最多で、三重県は9
都道府県ごとの被害市町村数。埼玉県57が最多で、三重県は9

新しく確認された年で並べると、こうなります。


2012年 愛知県。2013年 埼玉県。 2015年 徳島県、大阪府、群馬県、東京都。 2016年 栃木県。2017年 和歌山県。 2019年 奈良県、茨城県、三重県。 2021年 神奈川県。2022年 兵庫県。 2024年 京都府、千葉県。2025年 滋賀県。

そして2026年、岐阜県、山梨県、香川県、岡山県、長野県、福井県の6県。


14年かけて16都府県まで広がったものが、この1年で22になりました。

国の資料も、被害が加速度的に拡大している、と書いています。


隣の岐阜県が今年入ったことは、三重県にとって小さくない話です。



クビアカツヤカミキリを、庭にある樹木のどこで見つけるか



幹の根元です。


うどんのような、ひも状につながった木くずが出ていたら疑ってください。

フラスと呼びます。幼虫のフンと木くずが混ざったものです。


サクラの幹から出たフラスの実物。うどんのようにつながって見えます(iNaturalist・CC0)
サクラの幹から出たフラスの実物。うどんのようにつながって見えます(iNaturalist・CC0)

大きさがそろっていて、木を薄く削ったような形をしています。

6月から9月によく見られます。


出るのは根元だけではありません。

幹の途中、枝の分かれ目からも出ます。

地面に落ちていることもあるので、幹のまわりの地面も見てください。


サクラ、ウメ、モモ、スモモ。

バラ科の樹種が狙われます。庭でいえば、サクラとウメです。


成虫の見分け。決め手は前胸のとげ。赤いかどうかだけでは決まらない
成虫の見分け。決め手は前胸のとげ。赤いかどうかだけでは決まらない

成虫は6月から8月に出ます。

体長2.5cmから4cm。前胸が赤く、光沢のある黒い体。


ただし決め手は色ではなく、前胸の側面にあるとげ状の隆起です。


樹の中で、基本は2年。外から見えるのはフラスだけ
樹の中で、基本は2年。外から見えるのはフラスだけ

幼虫は幹の表面から少し内側の、内樹皮を食べます。

ここをぐるりと一周やられると、水を上げる道が絶たれて枯れます。


幼虫期間は2年。3年目の夏に成虫になって出てきます。

つまり、フラスが見えた時点で、中では1年か2年前から食べられているということです。


メス1匹が1,000個以上の卵を産むこともあります。

産卵は、樹皮の裂け目やめくれたところ。 古い木ほど、産みつけられる場所が多いということです。


出典 令和7年度病害虫発生予察特殊報第1号(三重県病害虫防除所)/クビアカツヤカミキリの防除法(森林総合研究所)


三重県でクビアカツヤカミキリを見つけたら、どこに連絡するか

木くずを見つけたときの手順
木くずを見つけたときの手順

三重県の窓口はここです。


庭木や街路樹、公園の木で見つけたとき。



三重県 農林水産部 みどり共生推進課 野生生物班 電話 059-224-2578

農地、果樹園で見つけたとき。

三重県病害虫防除所 電話 0598-42-6365


お住まいの市や町の環境課でも受け付けています。

国の防除戦略でも、市町村が発見情報の一次的な受付を担い、県が集約する、という役割分担が書かれています。


成虫を見つけたら、その場で捕殺してください。

生きたまま持ち運ぶことは、外来生物法で禁止されています。飼うこともできません。


庭木を持っている方へ


3つだけ、お伝えします。


根元を見る習慣をつけてください。

年に何回も要りません。

6月から9月のあいだに、庭のサクラとウメの根元を一度見る。それだけで、早く見つかります。


伐倒した材を、そのまま置いたり、よそへ運んだりしないでください。中に幼虫が残っていると、そこから成虫がます。


国の防除戦略も、伐倒木は新たな拡散源にならないよう、成虫が出る4月頃までに破砕、焼却、燻蒸のいずれかを行う、としています。


すぐに処理できないときは、目合い4mm以下のネットで覆う方法があります。

被害木にネットを巻く。目合い4mm以下で、地際から1mから2mの高さまで二重に
被害木にネットを巻く。目合い4mm以下で、地際から1mから2mの高さまで二重に

庭の手入れを頼む業者にも、このことを伝えてください。


剪定や伐採で出た枝を、現場から現場へ運ぶ道具や車が、運び手になることがあります。

国は、既被害地域から伸びる主要道路の沿線を侵入・拡大警戒ラインとして重点監視せよ、と書いています。


人と物の動きが、広がり方に効いているということです。


うちも、被害地域の現場に入ったあとは道具を確認するようにしています。


薬剤については、ここには書きません。

登録農薬は年ごとに変わります。

適用樹種も使用回数も薬剤ごとに違う。

名前を書いて、それが古くなったものを誰かが使うと、法律違反になります。


使うときは、農薬登録情報提供システムで現在の登録を必ず確認してください。


三重県林業研究所でも、樹幹注入の効果を調べた研究が行われています。


出典 Kawashima N (2021) Efficacy of insecticide injection into tree trunks against larvae of Aromia bungii. 三重県林業研究所報告 11:11–20


もっと詳しく調べたものを、noteに置きました


国の防除戦略、4つの区分ごとにやること、生態、見分け方、世界での広がり方、EUとドイツの対応、国の支援制度まで。


公開されている資料を読んで一本にまとめました。



人に伝えるためでもあり、うちが勉強するためでもあります。



最後に


サクラの木をお手入れさせていただくことがあります。

手入れをしながら、この木があと何十年もつかを考える。


そういう木が、2年で枯れることがある。

中に虫が入っているだけで。


見つけるのは早いほどいい。


庭のサクラとウメの根元を、この夏のうちに一度見てください。




 
 
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