イチゴの旬は冬?春?食べるときはヘタ側からどうぞ イチゴ
- 飯島 一郎

- 2024年12月23日
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クリスマスが近づくと、店頭に真っ赤なイチゴが並びます。すっかり冬のフルーツとして定着したイチゴですが、本来の旬は春です。日本では4月から6月が露地栽培の収穫期で、30年ほど前にはクリスマスケーキをイチゴでデコレーションする技術も今ほど普及していませんでした。では、なぜイチゴは冬に甘くなり、冬の定番フルーツになったのでしょうか。その答えは植物の生理と農業技術の交点にあります。

ハウス栽培が生んだ冬のイチゴ
イチゴの多くの品種は「短日性植物」です。日照時間が短くなり気温が10〜15℃程度に下がると、花芽分化が促進される性質を持っています。自然環境下では秋に花芽を作り、冬を越して春に生育し、初夏に収穫期を迎えます。促成栽培では、夏に高冷地で苗を育成してあえて短日・低温にさらし、秋に暖かい地域に定植してビニールハウスで加温・CO2施用することで、早期収穫を可能にします。ハウス栽培という技術なくして、クリスマスケーキのイチゴデコレーションは実現しませんでした。

冬に甘くなる理由
低温下でイチゴが甘くなるのは、単なる気候の産物ではなく植物の生存戦略です。イチゴは低温ストレスを受けると、細胞が凍結するのを防ぐために体内の糖濃度を高めます。いわゆる不凍液効果です。葉で光合成された糖が果実により多く蓄積され、さらに低温では植物の呼吸(糖の消費)が抑制されるため、糖が残りやすくなります。赤い色素アントシアニンも低温と光の刺激で増加し、糖度の高さと相まって鮮やかな色とより深い甘みが生まれます。
ヘタ側から食べると甘い理由
イチゴは先端部分から成熟が進みます。これに伴い、糖分も先端部により多く運ばれて蓄積される傾向があります。ヘタ側から食べ進むと、徐々に糖度が高くなる部分に到達するため、甘さがより強く感じられます。宮城全農のページでも「ヘタ側から食べると甘さが強調される」と紹介されているこの食べ方は、果実の成熟メカニズムと糖分の輸送・蓄積パターンに基づいた理にかなった方法です。

イチゴは果実ではなかった
イチゴの赤い食用部分は、植物学上の果実ではありません。果実は子房が成熟したものですが、イチゴで食べているのは花の中心にある「花托(かたく)」が肥大した「偽果(ぎか)」です。表面の小さな粒々のひとつひとつが「痩果(そうか)」という本物の果実であり、その中に種子が入っています。バラ科の植物としてリンゴ・ナシ・モモ・サクランボと同じ仲間で、現代のオランダイチゴは18世紀に北米産バージニアイチゴと南米産チリイチゴが交配して生まれた品種を祖先に持ちます。
庭でも楽しめるイチゴの栽培
イチゴはプランターや畑で手軽に栽培できる植物です。日当たりと水はけのよい場所、弱酸性の土壌(pH5.5〜6.5)を好みます。株元から伸びる「ランナー」の先に子株を作るため、毎年苗を購入しなくても更新が可能です。土壌に有機質を補い、連作障害を避ける工夫をすることで、お庭全体のなかで毎年収穫の喜びを楽しめます。自分で育てた採れたてのイチゴは、旬の意味を体で教えてくれます。






