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早朝は芳香を解き放つゴールデンタイム。花の女王「バラ」

  • 執筆者の写真: 飯島 一郎
    飯島 一郎
  • 2022年6月26日
  • 読了時間: 3分

更新日:5月19日

バラが咲いている庭に朝入ると、まず香りが来ます。花そのものが目に入るよりも先に。日が差し込む前の、まだ空気が冷えているあの時間帯に、バラはいちばんよく匂います。


庭師という仕事は、お客様の庭に朝から入らせていただくことが多い。その経験から言うと、バラの香りが一番濃いのは早朝8時台。昼になると、あれほど濃かった香りがずいぶん薄まっています。これには科学的な理由があります。


バラの花 — 花の女王と呼ばれる薔薇

バラの香りのゴールデンタイム — 早朝8時が最強の理由


バラの香りは、花が開きはじめる瞬間にいちばん多くの香り成分を放出します。蕾のうちに蓄えてきたゲラニオール・シトロネロール・2-フェニルエタノールといった揮発性の精油成分が、開花とともに大気中に解き放たれるからです。


研究データによれば、朝8時30分前後の香りの強さを100とすると、昼には約30、夜明け前には約19まで落ちます。


つまり朝8〜9時台が、1日の中でいちばんバラを香らせる時間帯です。気温が低いうちは成分が揮発しにくく、少し温度が上がりはじめる早朝に揮発量がピークに達し、その後は熱で成分が散逸してしまうためです。また朝の湿度の高さも、香り分子を空気中に漂わせる助けになります。


特に注目したい成分が「ベータ-ダマセノン」。検出閾値0.009ppbという極微量でもバラらしい印象を強く左右する重要成分です。この成分はダマスクローズに多く含まれており、香水・精油の原料として世界中で珍重されています。

バラ庭園の夜明け — 朝露と香りのゴールデンタイム、水墨画風イラスト

香りの強さは品種で大きく違う


「バラ = 香り」と思いがちですが、品種によって香りの強さは大きく異なります。最も香りが強いとされるのは「ダマスクローズ(Rosa damascena)」。


精油量・香り成分の種類ともに群を抜き、ブルガリアやトルコで大規模に栽培されてローズオットー(精油)やローズウォーターの原料になります。


同じく強香品種として知られるのが、オールドローズのガリカやセンティフォリア系。江戸時代以前から日本に伝わっている古い品種にも、強い芳香を持つものが多く残っています。一方で現代のモダンローズは花形・耐病性・繰り返し咲き性を優先して品種改良が進んだため、香りが薄くなっている品種も少なくありません。庭にバラを植える際、香りを楽しみたい方はダマスク系・オールドローズ系を選ぶのがおすすめです。


バラの一輪アップ — 香り成分が漂う様子、水墨画風イラスト

バラ園でいちばん香りを楽しむには

バラ園を訪れるなら、開園直後の朝8〜9時台が最もおすすめです。多くのバラ園では5〜6月の開花期に早朝特別開園を行う場合もあります。曇りの日より晴れた日の朝、前日に雨が降った翌朝も香りが強く出やすいと感じます。花に鼻を近づけるより、少し引いて立ったほうが香りの「層」を感じやすい場合もあります。


お庭にバラがある方は、庭仕事を朝イチに始めると、自然と芳香浴のような時間が生まれます。ハサミを持つ前にまず深呼吸する。それだけで朝の庭がずいぶん豊かな場所に感じられます。

バラ 基本情報

科名・属: バラ科 バラ属

学名: Rosa spp.

原産地: アジア・ヨーロッパ・中近東・北アメリカ・アフリカ

草丈: 品種により異なる(矮性50cm〜つるバラ5m以上)

開花期: 四季咲き・一季咲きなど品種により異なる。春のメインは5〜6月

香りのピーク時間帯: 早朝8〜9時台(気温が上がりはじめる時間)

主な香り成分: ゲラニオール・シトロネロール・2-フェニルエタノール・ベータ-ダマセノン

代表的な強香品種: ダマスクローズ・ガリカローズ・センティフォリア

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