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植物と暮らしていくための入門書「植物本:プランツケア - 100年生きる観葉植物の育て方

  • 執筆者の写真: 飯島 一郎
    飯島 一郎
  • 2024年12月26日
  • 読了時間: 3分

観葉植物は2〜3年で枯れるもの。そんな固定観念を根本から覆す一冊があります。川原伸晃さん著の「プランツケア - 100年生きる観葉植物の育て方」です。ただ水をやるのではなく、ただ日に当てるのではなく、植物の生理を理解してケアするという新しい視点が、長く植物と暮らすための基盤を作ります。


植物と暮らしていくための入門書 プランツケア 100年生きる観葉植物の育て方

水やりは感覚ではなく、科学だ

観葉植物が枯れる原因の多くは過湿と根腐れです。土壌が常に湿った状態だと、土壌中の空隙が水で満たされ根に酸素が届かなくなります。根は酸素呼吸でエネルギーを作るため、酸欠になると嫌気呼吸に移行してエタノールなどの有害物質が蓄積し、やがて腐敗します。さらに嫌気環境を好む病原菌(Pythium属・Phytophthora属)が増殖して根の腐敗を加速させます。水やりは土の表面が乾いたら、たっぷりと。底面給水を使うと過湿になりにくく、毛細管現象で土全体に均一に水が行き渡り、塩分の集積も抑えられます。


観葉植物を丁寧にケアする手 墨絵イラスト

菌根菌が観葉植物を変える

肥沃な土の核心は微生物にあります。土壌中の菌根菌は植物の根と共生し、菌糸を土壌中に広げることでリン酸や窒素、微量元素の吸収域を根単体の数倍から数十倍に拡大させます。有機質に富んだ土は団粒構造を持ち、通気性・保水性・排水性が同時に確保される最適な根域を作ります。市販の観葉植物用培土でも、有機質を混ぜることで微生物相が豊かになり、植物の免疫応答(全身獲得抵抗性)が強化され、病害虫への抵抗力が高まります。


植物の根と鉢の断面 墨絵イラスト

どの枝を切るかが植物の未来を決める

プランツケアが着目する剪定は、単なる整形ではありません。枯れ枝・病枝・過密枝を取り除くことで、植物は健全な部位や成長点にエネルギーを再配分できます。内部の枝を間引くと光の透過性が向上して光合成効率が改善し、通気性が増すことで病原菌の温床となる過湿状態を防ぎます。切る位置は枝の分岐点や葉の付け根(腋芽の上)が基本で、形成層を傷つけないよう注意することで、切り口からの感染を防ぎます。


植物は空間を癒す存在でもある

注意回復理論(ART理論)によれば、観葉植物は意識的な努力を必要としない「不随意注意」を引きつけ、仕事や思考に使われる持続的な注意の疲労を回復させます。ストレス軽減理論(SRT理論)では、緑の存在が副交感神経を優位にし、心拍数・血圧・筋緊張を低下させることが示されています。30分でコルチゾール(ストレスホルモン)が15%低下するという研究もあります。植物を置くことはインテリアではなく、空間の生理を整える行為です。


ペットのように植物と長く暮らす

プランツケアという視点は、植物を単なる消耗品ではなく固有の生理的ニーズを持つ生命体として認識することから始まります。葉の色・土の乾燥具合・新芽の出方という非言語のサインを読み取り、季節ごとに管理を調整し、成長に合わせて植え替える。その継続的な関わりが、ケアする側の自己効力感や達成感を高め、植物の成長と人の成長が重なり合う関係を生み出します。お庭全体の管理も、同じ考え方の延長線上にあります。


 
 
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