梅の開花の季節がきました。寒かった冬を超えて暖かな日差しを感じるようになる頃、咲き始めた梅の花を見つけると思わず微笑んでしまうような、心がフッと緩むようなそんな気持ちになります。
近くの小さな梅園では、白、ピンク、赤と数種類の梅の花が咲いていました。枯れた草木の地味な風景が一気にカラフルで活き活きとした景色に変わり、散歩に訪れる人も増えてにぎやかです。
「梅」はバラ科、サクラ属の植物で英名をPlum blossom、「モモ」「アンズ」「サクラ」の仲間で原産は中国、薬用目的の植物として日本に渡来したと言われています。
園芸学上では「白梅」と「紅梅」、「花梅」と「実梅」などに分けられることもありますが、現在では園芸品種は300を超える多品種が存在していることもあり、形質が複雑で分類も難しい植物です。
梅の歴史は古く、中国・唐の時代は梅の時代と言われるほど梅にちなんだ漢詩が盛んに読まれ、日本最古の歌集「万葉集」にも梅は登場しています。
万葉集に梅と聞くと元号「令和」の出展元となった「梅花の歌(梅花歌三十二首并せて序)」が思い起こされるかもしれません。
この歌では梅の開花で梅の美しさとよい香りを楽しみ、春の訪れを喜ぶ様子が詠まれています。やはり梅は古来から春を告げる花として愛された植物、来年はマスクをつけずに香しい梅の香りを楽しめることを願いながら、次々と咲く白梅、紅梅の姿を眺めたいと思います。