アカメガシワの赤色の新芽が開いてきました。といっても、誰かが植えたわけでもなく、いつからか気づいたら枝を大きくのばし庭のコンクリートのスキマに存在感たっぷりに育っていた樹木です。

瑞々しい新芽はビロードのような手触り、美しい赤色。アカメの名はここからきています。
赤目柏(アカメガシワ):トウダイグサ科アカメガシワ属、大きくなると10mにもなる落葉高木。本来は熱帯系の植物ですが本州から九州のあちこちに自生しています。山野地はもちろん空き地や庭の隅、道路わき、フェンスの影、ほんの少しのスペースから茎を伸ばしぐんぐん育つタフな植物。
柏の葉に似ている赤い芽=アカメガシワ。柏の葉といえば柏餅ですが一般的な柏餅の葉はギザギザした切れ込みがあり、ちょっと似ていないような…。調べてみると、そもそもはお皿のように食べ物をのせた葉のことを総称で「柏」としていたようで、アカメガシワの葉も食べ物を乗せていたことから柏と呼ばれていたようです。御菜葉(ゴサイバ)や菜盛(サイモリ)という別名があることでもお皿説は肯定できそうですね。
雑草扱いの植物ですが、本来は生薬として民間薬にも使われる薬草。赤い新芽は胃癌や胃潰瘍に効き、樹皮には整腸効果、緑葉には腫れ物の治療用途があるそうです。
秋にたくさん実をつけ鳥たちに大判振る舞いされて種は全国へ。どこにでも顔を出し、手に負えなくなる厄介者でもありますが…春から夏にかけて伸びてくる美しい新芽の様子を楽しめるのはこの季節だけ。刈り取ってしまう前にビロードのようなきれいな紅色新芽とグリーンの葉の色彩をしっかり観賞させてもらいましょう。