年の暮れが近づくとニュースにもなる「皇室の春飾り」。毎年12月初旬から皇居大道庭園で管理部庭園課の職員さんが製作をはじめる寄植え盆栽で、12月30日から1月3日まで御所や宮殿、各宮家で飾られます。
サイズも様々で50cmほどのものから、大きいものは2メートルにもなるとか。使用される植物は縁起がよいとされる松竹梅、千両(センリョウ)万両(マンリョウ)など、樹齢150年を超える梅の古木など風格のある樹木も飾られるそうです。
樹木、植物とともに皇居や赤坂御苑で丁寧に採取された苔、石灰岩の白い化粧砂も川に見立てて敷入れられ、盆栽のひと鉢に風景や世界感が凝縮された風情ある飾りです。
画像は一般の園芸店でお正月用に販売されていた黒松ですが、皇室の春飾りには大道庭園で長年大切に育てられている黒松が毎年使用されるそうです。
黒松は一年中青々とした葉をつけることから縁起が良い植物とされる常緑針葉樹、松島や安芸の宮島、天野橋立など日本各地の名所にも黒松は多く、神や霊魂の依り代(よりしろ)として信仰対象になることもあります。また盆栽の樹木としても王道で人気の樹木ですね。
皇居の春飾りは1月4日には降ろされ、また植え替えて次の春飾りの時期まで大切に育てられます。苔もはがして盆栽用に再利用されるそうですよ。
皇居の春飾りを直接拝見する機会はなかなかないと思いますが、宮内庁サイトでも画像が公開されているので趣ある盆栽の姿を楽しんでみてはいかがでしょう。
黒松(クロマツ):マツ科マツ属 生命力が強く古くから長寿と繁栄を象徴する縁起木
宮内庁HP:宮殿を飾る盆栽(春飾り)