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松の枝先、ニョキニョキ伸びているものは…?花びらのない花「マツの雌花」

  • 執筆者の写真: 飯島 一郎
    飯島 一郎
  • 2023年5月26日
  • 読了時間: 4分

更新日:5月14日

松の木の上の方を良く見ると、ニョキニョキと伸びた枝先に赤紫色のまるい部分。


松の枝先、ニョキニョキ伸びているものは…?花びらのない花「マツの雌花」

これは?…松の花、雌花なのだそうです。松はウロコのようなりん片が集まったはい胚珠(はいしゅ)がむき出しになった形でつく裸子植物で、花びらやがくがありません。雄花は別にあり、こちらにはウロコのようなりん片が集まった花粉のうに「花粉」が入っています。


花というには華やかさに欠ける気はするものの、松は花粉を風で飛ばし、風にのってきた花粉を受け止めて種を残す「風媒花」なので虫や鳥を惹きつける必要もない。鮮やかな色や魅力的な香りも不要。合理的なスタイルというわけですね。


松:マツ科マツ属の常緑高木の総称、赤道から北極圏まで北半球全般の広域に生育し、花の開花期は4月~5月。日本画や家紋にも好んで描かれる、縁起のよい植物として古くから親しまれています。


和名の「まつ」には行く末を待つ、神が宿るのを待つ、雪や霜に負けず緑のまま春を待つ、といった意味合いがもたされているとか。どっしりと地に根を張り、寿命が長く、年中美しいグリーンを絶やさないそんな威厳と風格が日本人の心を掴む理由なのかもしれません。


公共施設や個人宅の庭木、盆栽としても定番の樹木でもあります。


立派な枝ぶりや樹齢何百年という大木に注目が集まることはあっても、剪定前のピョコピョコと伸びた新芽や地味目な花を目に留めることは少ないかもしれません。それでも花言葉には縁起の良い言葉として「不老長寿」、「勇敢」「向上心」「永遠の若さ」というエネルギッシュなものがたくさん。


松の樹木を見かけたら、ちょっと枝先を見上げて花も愛でてみませんか?


よくあるご質問

Q. 松の枝先に出てくる赤い穂のようなものは何ですか?

A. 松の雌花(めばな)です。春に新芽とともに出てくる球果の赤ちゃんで、受粉すると松ぼっくりに成長します。一見花らしくありませんが、これが松の花です。


Q. 雌花と雄花はどう違いますか?

A. 雄花は黄色い細長い穂状で大量の花粉を放出します。雌花は赤みがかった小さな球形で枝先近くにつきます。春の松の周りに漂う黄色い煙は雄花の花粉です。


Q. 春の松の手入れで注意することはありますか?

A. 5月頃に新芽(みどり)が伸びてきたタイミングでみどり摘みを行うと、樹形が整い翌年の枝の密度も良くなります。雌花・雄花がついている時期は花粉が飛ぶため、花粉症の方はマスクの着用をお勧めします。

マツ 雌花 春 松の手入れ みどり 剪定屋空


松の枝先に雌花と小さな球果が並ぶ成長段階の対比を描いた墨絵イラスト

松ぼっくりができるまで — 2年がかりの物語


松の雌花が受粉してから、松ぼっくりとして落下するまでには約2年かかります。春に咲いた雌花が受粉するのは4〜5月。ところが受精は翌年の春まで起こりません(花粉を雌花のなかに取り込んだ状態で約1年待ちます)。


翌春に受精が完了すると、緑色の小さな球果になります。秋になって球果が茶色く成熟し、松ぼっくりとして落下するのは2年目の秋。今年の地面に落ちている松ぼっくりは、2年前の春の雌花から育ったものなのです。


松花粉の構造 — 空気袋で風に乗る

春の松の木から黄金色の花粉が風に舞い上がる情景の墨絵イラスト

松の花粉には「気嚢(きのう)」と呼ばれる空気の袋が2つついています。この袋が浮き輪の役割を果たし、花粉が風に乗って遠くまで運ばれます。春の松林で見られる黄色い煙のようなもの、あれが松の雄花から飛ぶ花粉です。


剪定の現場でも、春の松の近くで作業すると服が黄色くなるほど花粉が飛びます。スギ花粉とは形が異なりますが、飛散量は多いため、アレルギー体質の方は作業時にマスクの着用をおすすめします。


松かさの開閉 — 湿度センサーとしての松ぼっくり


松ぼっくりの鱗片は、乾燥すると開いて種子を飛ばし、湿度が高くなると閉じて種子を守ります。これは鱗片を構成する2層の細胞が、異なる収縮率を持つためで、天然の湿度センサーといえます。


拾ってきた松ぼっくりを水に濡らすと鱗片が閉じ、乾かすとまた開く様子を観察できます。子どもと一緒に試してみる実験としてもおすすめです。


Q. 松ぼっくりはいつ落ちますか?

A. 松ぼっくりは雌花が受粉してから約2年後の秋(10〜11月)に成熟して落下します。緑色の若い球果は2年目の夏ごろに茶色くなり、乾燥すると鱗片が開いて種子を飛ばします。


Q. 松の花粉はスギ花粉症と関係ありますか?

A. 松の花粉はスギ花粉(Cry j 1)とは異なるタンパク質を持ちます。スギ花粉症の原因アレルゲンは松には含まれないため、松花粉だけでスギ花粉症の症状が出ることは少ないとされています。ただし飛散量が多いため、アレルギー体質の方は花粉の多い時期の剪定作業にはマスクをお使いください。


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