伐採木の活用・蔓・手仕事から生まれる、野生動物のための住処
- 三重県剪定伐採お庭のお手入れ専門店 剪定屋空

- 18 時間前
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庭木や里山の管理の現場では、安全や景観のために伐採や剪定が欠かせません。
その一方で、都市化や管理伐採の進行によって、フクロウやシジュウカラなどが暮らす 天然の樹洞 は年々失われています。
今回制作した人工巣洞は、そうした現代の環境条件のなかで、伐る仕事を、育む仕事へとつなぎ直すための試みです。
なぜ人工巣洞なのか
従来の四角い巣箱は、設置しやすく普及している一方で、
温度や湿度が急激に変化しやすい
外敵に対して脆弱になりやすい
といった、生態的な限界も抱えています。
人工巣洞は、自然界の樹洞が持つ 形状・厚み・不均一さ を意識し、野生動物が違和感なく受け入れられる環境を目指しています。

素材の思想 ― 均一にしない

主材には、伐採で発生した モチノキ を使用しました。本来であれば役目を終え、処分されるはずだった木材です。

蔓、藤、ワラ、麻縄といった素材は、一晩水に浸すことで柔軟性を取り戻し、素材本来の性質を活かした手仕事が可能になります。

太さや節、表皮の個性はあえて揃えません。この 不均一さ が、苔や微生物の定着を促し、小さな生態系の足がかりとなっていきます。
編むことで、自然に近づく構造
人工巣洞の屋根部分は、放射状に立てた芯材に蔓を編み込んで成形しています。

編み目は上部ほど密に、下部は粗く。雨を防ぎつつ、内部の湿気を逃がすための 機能的な粗密 を持たせています。
硬直した板材ではなく、編むという柔軟な構造を選ぶことで、自然界の曲線に近い形をつくり出しています。
麻縄は装飾ではない
本体と屋根の接合部に巻かれた麻縄は、見た目のための装飾ではありません。

空気層をつくる断熱材
風による微細な振動を吸収するダンパー
捕食者が爪をかけにくくする防御壁
複数の機能を担う、重要な構成要素です。
自然素材であるため劣化はしますが、巻き直しや交換ができること自体を前提 にした設計としています。
木部構造と木釘 ― 分解できることが前提
金属の釘やビスは使わず、木釘と木工ボンドによる接合を採用しています。

木の収縮や膨張を妨げず、湿気や振動を柔軟に受け流すための構造です。

将来的に分解し、内部清掃や部材交換ができることも、長く使い続けるための重要な条件と考えています。
内部構造は整えすぎない

内部は、あえて滑らかに仕上げていません。チェーンソーやノミの跡を残すことで、小鳥の足場となる微細な凹凸をつくっています。
底部には水抜き穴を設け、湿気がこもらないよう配慮しています。
自然の樹洞に近い環境を、人の手で つくりすぎない ことを大切にしています。
観察と記録 ― 見るためではなく、知るために
人工巣洞には、トレイルカメラを設置しています。蔓編みの帽子で覆うことで、雨や反射を防ぎ、人工的な存在感を極力消しています。

目的は観察ではなく記録。営巣から巣立ちまでのプロセスを継続的に記録し、生態への理解を深めていきます。
完成形と風景へ

人工巣洞は、完成した瞬間がゴールではありません。

時間とともに苔や菌類が付着し、色は褪せ、やがて風景の一部になっていきます。
人工物でありながら、自然が忘れていく過程そのものを含めてデザインする。
それが、この人工巣洞の目指す姿です。
伐採木は、ただの廃材ではありません。次の命を支える素材になり得ます。
人工巣洞は、切る仕事と育む仕事のあいだに立つ、ひとつの静かな提案です。
スライド資料も作ってみたのでもしよければ下記よりお気軽にダウンロードください^^

木鳥商店について

木鳥商店(ことりしょうてん) は、剪定屋空が運営するアップサイクルブランドです。
庭や里山の手入れの中で生まれる伐採木・剪定枝・蔓・竹など、本来は役目を終えた素材にもう一度手を入れ、野生動物のための人工巣洞 や暮らしに寄り添う木の道具として再生しています。
木鳥商店が大切にしているのは、つくりすぎないこと・自然に任せる余白を残すこと。
人工巣洞もまた、完成した瞬間ではなく、時間とともに風景に溶け込んでいく過程そのものを含めて一つの形だと考えています。
自然からの贈り物を、暮らしの宝物へ
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