淡竹と真竹は、どちらもイネ科マダケ属に属する竹ですが、その形態、生態、用途、文化的な側面など、様々な点で違いがあります。
1. 分布
淡竹と真竹の分布は、どちらも東アジアを中心としていますが、その範囲は異なります。
淡竹: 主に中国の黄河流域以南に広く分布しています。日本では、本州(関東地方以西)、四国、九州に分布し、特に京都府、大阪府、奈良県、和歌山県、兵庫県などの近畿地方に多く生育しています。

真竹: 中国原産ですが、日本にも古くから持ち込まれ、本州(中部以南)、四国、九州、沖縄に分布しています。縄文時代から真竹を活用ししていた歴史があり在来種とも考えらえている。

2. 歴史
淡竹と真竹は、どちらも古くから人々の生活に利用されてきました。
淡竹: 日本では、江戸時代(1603年~1868年)にはすでに食用として利用されていた記録があります。
真竹: 日本では縄文時代(紀元前14,000年頃~紀元前300年頃)から利用され、矢じりや漁具などに用いられていました。弥生時代(紀元前10世紀頃~3世紀頃)には、稲作の伝来とともに、住居や農具の材料として利用されるようになりました。 また、エジソンが電球のフィラメントに日本の竹の繊維を炭化して用いたという話があります。
3. 用途
淡竹と真竹は、その特性を生かして、様々な用途に利用されています。
淡竹: 割り竹に適しており、茶筅や竹箒、花器などに利用されます。 正倉院の呉竹笙、呉竹竿、彫刻尺八、天平宝物の筆などは淡竹製と鑑定されています。 また、内側の薄皮は竹紙と呼ばれ、笛の響孔に張り音の響きを良くするのに使われます。
真竹: 弾力性としなやかさに優れているため、竹細工や竹刀、釣り竿などに利用されています。 建築材や家具材としても利用されます。
米糠と籾殻を使った磨き方
米糠と籾殻を使った磨き方は、竹の表面を傷つけずに汚れを落とすことができる伝統的な方法です。
まず米糠と籾殻を準備します。米糠と籾殻は、細かく砕いて使用するとより効果的です。
準備した米糠と籾殻を混ぜ合わせ、水で湿らせます。この時、水分が多すぎると竹にカビが生える可能性があるので、米糠と籾殻が湿る程度の水分量に調整しましょう。
水で湿らせた米糠と籾殻を竹にまんべんなく塗布します。
柔らかい布やブラシを使って、竹の表面を丁寧に磨きます。ゴシゴシと強くこすりすぎると竹の表面に傷がついてしまうため、優しく磨くように心がけましょう。
綺麗な水で米糠と籾殻を洗い流します。
乾いた布で竹の表面の水分を拭き取ります。
不燃布を使った磨き方
不燃布を使った磨き方は、米糠と籾殻を使った方法よりも手軽に行うことができる方法です。
不燃布に米糠と籾殻を詰め込みます。
不燃布で竹の表面を磨きます。この時、力を入れすぎると竹の表面を傷つけてしまう可能性があるので、注意が必要です。
綺麗な水で竹を洗い流します。
乾いた布で竹の表面の水分を拭き取ります。

上の写真は左が真竹で右が淡竹竹になり真ん中二本は米糠と籾殻を混ぜて磨いた後の色です。
不燃布に米糠などを詰め込んでも磨きやすいです。
真竹の方が色が鮮やかで竹垣などによく使用されていますが、淡竹の色合いも綺麗です。
竹の油抜きの方法
竹の油抜きとは、竹に含まれる余分な油分を取り除き、耐久性を向上させ、自然な色合いを長く保つために行う重要な処理です。この工程により、乾燥中に竹がひび割れるリスクを軽減し、さらに防虫効果や美しい艶をもたらします。油抜きにはいくつかの方法があります。
1. 乾式油抜き
乾式油抜きは、ガスバーナーや炭火を使用して竹を炙り、表面から油分を引き出す方法です。この際、竹からにじみ出た油分を布で拭き取り、模様や質感を整えます。

バーナーの火を竹全体に均一に当て、焦がさないように注意する。
竹の油分が浮き出てきたら、素早く布で拭き取る。
この方法は特に竹細工や建築用の竹素材に適しています。適切に処理された竹は、模様が鮮明になり、さらに美しい仕上がりが得られます。
その他の方法は
2. 湿式油抜き
湿式油抜きでは、熱湯を用いて竹を茹で、内部の油分を取り除きます。伝統的な技法としては、大釜で竹を一定時間茹でる方法が挙げられます。この工程により、竹は表面が滑らかになり、加工がしやすくなると同時に、耐久性も高まります。湿式油抜きのメリットは、竹に均一な熱が加わり、より深い部分まで油分を除去できる点です。特に大型の竹や強度が求められる用途に向いています。
3. 木灰を使った油抜き
木灰を使う方法は、竹の表面に木灰を塗布し、スポンジや布で丁寧にこすり洗いするというシンプルな手法です。木灰が竹の油分と化学反応を起こし、油分を効率的に分解します。この方法はバーナーを必要としないため、家庭でも手軽に試すことが可能です。特に装飾品や小型の竹製品に適した手法です。
4. 火入れによる処理
竹をバーナーで軽く炙る「火入れ」は、表面の水分を蒸発させ、油分を同時に除去する方法です。さらに防虫効果を高め、竹の耐久性を向上させるための補助的な処理としても広く用いられています。この方法は竹材の表面に艶を出し、仕上がりを美しくする効果があります。
油抜きの効果
油抜きを行うことで、竹の耐久性が向上し、色合いが綺麗に長持ちします。 また、竹の表面の汚れを落とし、ツヤを出す効果もあります。 油抜きを施した竹は、竹林に生えているときに比べて模様が綺麗に現れます。
抜きの効果は、竹の種類や使用方法、保管環境などによって異なりますが、一般的には数年から数十年は持続すると言われています。 しかし、直射日光や雨風にさらされるなど、厳しい環境下では、油抜きの効果が短くなる可能性があります。
4. 形態
淡竹と真竹は、外見にも違いがあります。
淡竹: 稈の色は白っぽく、直径は3〜10cm、高さは10〜15mほどです。 節は二輪状で、隆起線は低く黒っぽいのが特徴です。
真竹: 稈の色は緑色で、直径は8〜12cm、高さは10〜20mになります。 節は二輪状で、隆起線が目立ちます。
5. 生育環境
淡竹と真竹は、生育環境にも違いがあります。
淡竹: 耐寒性が高く、北海道南部や日本海側の本州でも育ちますが、雪に弱いため、暖地の山中でより健全に育ちます。 乳酸菌発酵を促す土壌など、微生物が豊富な土壌でよく育ちます。
真竹: 日当たりの良い南斜面や西斜面を好みます。 地下茎を伸ばして繁殖するため、地下茎が伸びやすい土壌が良いとされます。
6. 生態
淡竹と真竹は、生態にも違いがあります。
淡竹: 地下茎は地表から10〜30cmほどのところを波打ちながら、毎年1〜2mほど伸びます。 3年目くらいからタケノコを発生し、5〜7年で最高となり、10年を過ぎると老化・枯死します。 開花周期は約120年で、開花後は一斉に地上部分が枯死しますが、地下茎は枯れないものが多くあります。
真竹: 地下茎を長く伸ばし、その先端にタケノコを生やします。 開花周期は約120年で、開花後は一斉に枯死します。 日本のマダケは遺伝的に均一なため、斉に開花し、一斉に枯れると考えられています。
7. 利用方法
淡竹と真竹は、それぞれ異なる方法で利用されます。
淡竹: タケノコはアクが少なく、掘り出したばかりのものは生食もできますが、時間の経過とともにアク抜きが必要になります。 竹材としては、乾燥させてから使用します。 竹皮は染料として利用されます。
真竹: タケノコは苦みやアクが強いため、米ぬかや唐辛子などを使ってアク抜きをします。 竹材としては、油抜きや燻煙などの加工をしてから使用します。
8. 文化的側面
淡竹と真竹は、どちらも日本の文化に深く関わっています。
淡竹: 茶道では茶筅の材料として欠かせない存在です。 また、竹紙は笛の響孔に張って音色を良くするなど、楽器にも利用されています。
真竹: 竹細工や竹刀など、伝統工芸や武道の道具として広く使われています。 京都の嵐山などの竹林は、美しい景観を形成し、観光資源としても重要です。
淡竹と真竹は、どちらも有用な竹ですが、その特性は大きく異なります。それぞれの特性を理解した上で、適切な用途に利用することが重要です。

例えば、淡竹はしなやかで割りやすいため、茶筅や竹ひごなどの細かな加工に適しています。また、アクの少ないタケノコは、様々な料理に利用できます。一方、真竹は強度と弾力性に優れているため、竹刀や建築材など、強度が求められる用途に適しています。

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淡竹と真竹の特徴や用途の違いを理解し、それぞれの性質に応じた活用方法を選ぶことで、これらの竹をより有効に活用することができます。また、これらの竹は日本文化や伝統工芸、景観にも深く根付いており、それぞれが持つ魅力を再認識しながら、その価値を次世代に伝えていくことが重要です。