四日市市松本 松本城跡の立ち枯れコナラ2本を特殊伐採(白色腐朽の裏づけと搬出)

三重県四日市市松本にある松本城跡で、立ち枯れたコナラ2本を根元近くまで伐らせていただきました。
この春、一本のコナラの大木には幹に二段のサルノコシカケを見つけ、中まで腐朽が進んでいると見立てた木です。夏にその見立てを確かめながら2本のコナラを伐採させていただきました。

対象は隣地の住宅が近いコナラでした。倒れる方向を選べない場所で、根元から普通に伐り倒すことはできません。老木が弱ることは森の終わりではなく、共存を考えた森へ変えていく転機です。安全に、丁寧に、順を追って高い所から降ろしていきます。

木に登り、上部の枝と幹を少しずつ切り分けるクライミングでの特殊伐採です。落とせない方向がある現場では、地上から一気に倒すのではなく、上から短く区切って降ろすことで、住宅にも電線にも触れさせずに進められます。

上部を処理したあと、残った幹をクレーン車で吊りながら玉切りにしていきます。腐朽が進んだ幹は内部の強度が読みにくく、吊って支えながら切ることで、切った瞬間の裂けや落下を防ぎます。

玉切りにした材は、その場でクレーンと軽トラックに積み込み、搬出します。城跡の斜面地で足場が限られるため、人力で引きずり出すのではなく、機械で吊って運び出すことで、林床と作業者への負担を減らします。

玉切りにした材の断面です。白く、崩れるように腐っていました。春に見立てたとおり、白色腐朽菌が幹の内部まで回っていたことが、切ってみて確かめられました。
サルノコシカケのような子実体が外に出ているとき、菌糸はすでに幹の中に広がっています。表に出た小さなキノコは、中で進んでいることの合図です。
この2本は、梅雨明けから急に葉が枯れ上がるナラ枯れとは進み方が違いました。冬から春にかけて片方の枝から静かに弱っていく経過で、ナラ枯れ特有の木くずの堆積も見られません。急な病ではなく、長い時間をかけた材の腐朽による衰えでした。

伐採した材の上に、大型のコメツキムシ(フタモンウバタマコメツキ)がいました。腐朽が進んだ材には、それを住処や餌にする虫たちがすでに集まっています。枯れていく木も、次の生き物の場になっている。伐ることは、その循環に人の手で区切りをつける仕事でもあります。

根元近くまで処理した切り株です。危険木を一本片づけるたびに、周りの木に光と空間が戻ります。

松本城跡は、四日市市松本の独立した丘の上にあります。鎌倉時代の初め、元久年間(1204年ごろ)に松本三郎盛光の城があったと伝わる場所です。
四日市の丘陵の森は、かつてアカマツの里山でした。人が薪や落ち葉を採って手入れしていた明るい林が、生活の変化とマツ枯れで放置され、いまはコナラや竹、タブノキの林へと姿を変えています(出典: 四日市市 よっかいちの自然)。
今回の立ち枯れコナラは、その放置された里山の森が迎えた姿の一つです。
コナラ2本の伐採は、この森を守り直す最初の一歩です。切って終わりではありません。危険な木を安全に片づけたうえで、これからどう森を手入れし、次の世代の木へつないでいくかが大事になります。
よくあるご質問
Q. サルノコシカケが出ている木は伐らないといけませんか。
A. すべてではありませんが、注意が必要です。サルノコシカケのような硬いキノコが幹に出ているとき、原因となる菌はすでに幹の内部で腐朽を進めていることが多く、外見が元気でも強度が落ちている場合があります。倒れて困る場所に立つ木は、幹の状態を確かめたうえで伐採を検討します。
Q. 特殊伐採とはどんな作業ですか。
A. 住宅や電線が近く、普通に伐り倒せない木を、登ったりクレーン車で吊ったりして少しずつ安全に伐り分けていく伐採です。倒す方向が取れない現場や、腐朽して強度が読めない木で用います。
Q. ナラ枯れと腐朽による立ち枯れはどう違いますか。
A. ナラ枯れはカシノナガキクイムシが媒介する菌によるもので、梅雨明けから夏にかけて葉が急に枯れ上がり、根元に木くずがたまります。今回のように冬から春にかけて静かに弱っていく経過は、材の腐朽による衰えで、進み方が異なります。
倒れて困る木、枯れた木の伐採をご検討の方は、樹木伐採のご案内をご覧ください。現地を拝見し、周囲への影響や木の状態を確かめたうえでご提案いたします。
最終更新: 2026年07月





