モミジの種はなぜ回転するのか?Science誌が解明した、庭の木が持つ飛行の知恵
- 三重県剪定伐採お庭のお手入れ専門店 剪定屋空

- 19 時間前
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初夏のモミジを見上げると、葉のあいだに赤い小さなプロペラがあることに気づきます。翼果(よくか)と呼ばれる、一つひとつに種を抱えた果実です。秋になるとこれが枝を離れ、くるくると回転しながら風に乗って地面へ落ちてきます。
なぜ回転するのか。この問いに、科学誌Scienceが2009年に答えを出しました。

前縁渦(LEV)と呼ばれる渦が、揚力の鍵でした。
翼果が回転すると、翼の前縁の上面にトルネード状の小さな渦が発生します。この渦が翼上面の気圧を下げ、吸い上げるような力を生みます。
回転しない種と比べると、この仕組みによって揚力は2倍になります(Lentink et al., Science, 2009)。
同じ原理は、ハチドリの羽ばたき・トンボの飛行・コウモリの翼で確認されています。
植物と動物が、まったく別々の進化の道をたどりながら、同じ空力の解に行き着いた。研究者はこれを収束的な解法と呼びます。モミジは木ですが、飛ぶことに関しては昆虫や鳥と同じ物理を使っています。

ひとつ豆知識を。
翼果の設計は驚くほど頑健です。重量が100%変化しても落下速度の変化は15%未満に収まる、と2024年のNature Communications Biologyは報告しています。
雨粒に当たって回転が乱れても、ほぼ瞬時に回転を回復し、散布距離の損失は10%未満とされます(PNAS, 2025)。
湿度・雨・種子の大小を超えて安定して飛ぶ設計です。
この頑健さは工学にも応用されています。ドローンの翼設計・環境センサーの空中散布・天井ファンのブレード形状の研究に、モミジの翼果の幾何学が使われています。
庭のモミジを剪定していると、切った枝からこぼれた翼果がゆっくり回りながら落ちてくることがあります
秋に落ちた翼果が翌春に発芽した小さな実生苗を庭で見かけることもあります。親木から少し離れた、日当たりの違う場所に生えていることが多い。回転しながら風に乗って、そこまで飛んできた証拠です。
モミジは自分が育った場所の真下ではなく、少し離れた場所に子どもを送ります。親木の陰にならない場所を選んで。その判断は、翼の設計に刷り込まれています。

よくあるご質問
Q. モミジの翼果(種)が落ちる時期はいつですか?
A. イロハモミジの翼果は4月から5月にかけて実り、10月から11月に熟して落下します。春の赤いプロペラ状の翼果はまだ未熟で、秋になると茶色く乾燥して風散布の準備が整います。
Q. 庭に落ちたモミジの種から育てることはできますか?
A. できます。秋に落ちた翼果を拾い、乾燥しないよう保管して翌春に播くと発芽します。ただし実生苗は品種のばらつきが大きく、庭で育てるには数年かかります。
Q. モミジの種が大量に庭に落ちているのですが、対処法はありますか?
A. 放置すると雨のたびに発芽しやすくなります。落ちた翼果はひとまとめにして取り除くか、堆肥として活用できます。まだ小さいうちに除去するのが効果的です。
剪定屋空では、モミジをはじめ庭木の年間管理を承っています。剪定の時期や実生苗の対処など、樹種ごとの特性に合わせてご提案します。詳しくは下記よりご相談ください。







