花が散る。の日本語表現も情緒ある美しい言葉が多いですね。
冬の花として親しまれる山茶花(サザンカ)は散り方の似た牡丹の花と同じく花の散る様、枯れる様を「崩れる」と表現されるようです。艶やかに咲き、気づくとハラハラと1枚ずつ花びらを落とし、花びらが降り積もった樹の下もまた美しく、散った後も幻想的な風景。ただサザンカは10月から1月頃まで咲いては散り、積もりを繰り返し開花期も長いのでもう少しこのリピート感?を表現する言葉はないものかと探してみたら。。。俳句の一節を見つけました。
「山茶花の こぼれつぐなり 夜も見ゆ」加藤楸邨 出典:『寒雷』
こぼれつぐ。梅の花の散り方を表現する「こぼれる」が繰り返される感覚と受け取れ、花びらが咲き溢れてはこぼれ、また咲きこぼれ。。。というサザンカのイメージにぴったり。俳句の知識もなく正しい解釈は不明ですが、夜の闇にも鮮やかに咲き静かに散る山茶花、そんな風景が浮かんでくるようです。
山茶花(サザンカ):ツバキ科 ツバキ属(カメリア属)、日本固有種です。日本から世界へと広まった山茶花は英語圏・ヨーロッパ圏でもSasanqua(サザンカ)。日本での別名には姫椿・ヒメツバキ・コツバキ・コカタシ・カタシもあります。
園芸品種も多く、カンツバキを中心に作出された品種群、ツバキと山茶花の交雑種であるハルサザンカから作出された品種群、サザンカからの品種群と3つに分類されているようです。
「椿は落ちる」「雪柳は吹雪く」「梅はこぼれる」、枯れる花の表現も散る花の表現もその儚さや小さな動きを情緒的にとらえた日本語表現。あなたの好きな花にはどんな言葉が似あうでしょうか。