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窓から木が見えるだけで不安が減る理由

  • 執筆者の写真: 三重県剪定伐採お庭のお手入れ専門店 剪定屋空
    三重県剪定伐採お庭のお手入れ専門店 剪定屋空
  • 6 時間前
  • 読了時間: 4分
窓から庭の木が見える静かな空間 — グリーンケアと剪定屋空

三重県で庭の仕事をしていると、グループホームや医療施設から依頼をいただくことがあります。その多くが、大きくなりすぎた木を切ってほしいという内容ですが、こちらからひと言添えるようにしています。


できれば、枝を透かす剪定で考えさせてください。窓から木が見えることには、入居者の方々の不安を和らげる働きがあることが、研究で明らかになっています。


庭を見るだけで不安が減るとはどういうことか


1984年、アメリカの建築学者ロジャー・ウルリッヒが科学誌サイエンスに論文を発表しました。胆嚢手術後の患者を2つのグループに分け、一方は窓から木が見える病室に、もう一方はレンガ壁が見える病室に入院させました。


結果、木が見えるグループは回復が平均1日短縮し、鎮痛剤の使用量が有意に少なく、看護師への苦情件数も少ないことがわかりました。景色が見えるという条件だけで、これだけの差が出ました。


縁側から眺める日本庭園の静かな景色 — 自然が脳に与える回復効果

なぜそうなるのか、脳の話


2022年、ドイツのマックス・プランク研究所の研究チームが、自然環境と都市環境を1時間歩いた前後でfMRIを撮影しました。自然の中を歩いた後、脳の扁桃体の活動が有意に低下していました。


扁桃体は、恐怖・不安・ストレスの処理を担う部位です。自然の中にいることで、この部位が鎮まる。それが、緑を見ると落ち着くの神経科学的な答えです。


これはストレス回復理論(SRT)と呼ばれ、1991年にウルリッヒが整理した枠組みです。自然への接触が交感神経活動を抑制し、副交感神経を活性化する。庭を眺めるだけで、体は回復モードに入ります。


認知症の方への効果


これは認知症ケアの分野で特に注目されています。国際的な研究レビュー(2021年・16件)では、次の結果が報告されています。


興奮行動・攻撃的行動が46.7パーセント低下。抑うつの改善が13.3パーセント。生活の質スコアが12.8パーセント向上。向精神薬が有意に削減。転倒が38.7パーセント削減。


薬を使わずにこれだけの変化をもたらすのは、庭に出ること・緑を見ること・土を触ることの組み合わせです。注意回復理論(ART)が示す通り、自然は努力なしに人を引きつけ、疲弊した注意力を回復させます。


木のそばにいると体に起きること


木はフィトンチッドという揮発性の成分を放出しています。ヒノキやスギ、マツが特に多く含みます。日本医科大学の研究では、森林浴後に免疫細胞であるNK細胞が50パーセント以上増加し、その効果が30日間持続することが報告されています。木の下にいるというだけで、体に変化が起きています。


透かし剪定された庭木の枝間から差し込む朝の光 — 光環境の設計

剪定は光環境の設計でもある


庭木の枝を透かすことは、光の設計でもあります。認知症の方は、概日リズムを司る部位が早期に障害されやすく、夜の不眠や夕方の徘徊が増えることがあります。


このリズムを安定させるのに、午前9時から10時頃の自然光が効果的であることが研究で示されています。目標は2500ルクス以上の光を1日60分。室内の照明がどれだけ明るくても、晴天の屋外光には遠く及びません。


庭の木の枝が適切に透かされていれば、南側のテラスや縁側に午前の光が差し込みます。透かし剪定は、光を通す。光が入ることで、入居者の方の睡眠が安定する。これが剪定の意味のひとつです。


豆知識


ウルリッヒの病室実験(Ulrich, 1984)は、窓からの景色という変数だけで医療アウトカムが変わることを示した最初の研究のひとつです。現在のエビデンスベースト・デザイン(医療施設の設計を科学的根拠で行う分野)の礎となった論文として、40年後の今も引用され続けています。


参照:Ulrich RS, Science 1984年4月27日号。


よくあるご質問


Q. 庭木は大きいままの方がいいのですか?

枝の量だけでなく、人の目線に緑が入る配置が重要です。大きすぎて窓を塞いでいたり、暗くしているなら透かすか軽く刈り下げる必要があります。木と光のバランスを見て判断しています。


Q. 介護施設の庭の管理を依頼できますか?

三重県内の医療施設・介護施設・グループホームの庭管理のご依頼をいただいています。施設利用者の方の安全を第一に植物管理と光環境を意識した剪定を行います。


Q. 施設の庭に毒のある植物があるか確認してほしい場合は?

スイセン・アセビ・キョウチクトウなど、介護施設の庭でよく見かける有毒植物があります。認知症の方が誤って触れたり口にしたりするリスクがあるため、確認が必要な場合はご相談ください。


対応エリア

四日市市、鈴鹿市、いなべ市、桑名市、亀山市、津市、松阪市、菰野町、朝日町、川越町、東員町、木曽岬町


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