「蓼(たで)食う虫も好き好き…」日本のことわざに登場する植物、蓼(タデ)。
タデは茎や葉に独特の苦味がありますが、そんな苦いものをわざわざ好んで食べる虫もいることから、人の好みは様々、十人十色、千差万別、三者三様といった「人それぞれ」を表す意味の言葉です。
ことわざに登場する蓼(タデ)は、ヤナギタデという品種で水辺や田んぼの畔にも見られる植物のことなのですが、今回の画像のタデはその仲間の「大毛蓼(オオケタデ)」「オオベニタデ」という違う品種です。
ヤナギタデより背丈も花も大きく、丈1~2m、花径6~7mmの紅紫色の小さな花が集まった穂状花序(花茎に柄のない花が均等につく)、 同じ種類のイヌタデを大きくしたような花でもあります。
タデ科 イヌタデ属、原産地は中国、インド、マレーシアなど。日本へは江戸時代に観賞用として渡来しましたが、野生化もしており北海道から沖縄にかけて広く分布しています。
撮影のオオベニタデは、田畑の空きスペースに植えられていた1本ですが、他にも観賞用に数十本を並べて植えられた場所もあり、大きな赤紫色の花が咲き揃った風景は美しく見応えがありました。
ところで、タデ(ヤナギタデ)は、虫のみならず人もしっかりと食べてきた植物。
鮎の塩焼きに欠かせない薬味が「タデ酢」、ピリリとした辛味が味を引き立てると共に魚の臭み消しと抗菌効果を高めるという相乗効果もあるそう。
またお刺身のツマとして添えられている赤紫の若い葉も実は紅蓼の新芽「芽タデ」。気に留めることも少ないかもしれませんが、古くから食べ物の安全と味を守ってくれている植物なのですね。
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