top of page

農薬の前に、鳥を呼ぶ。害虫に強い生き物が来る庭のつくり方

  • 執筆者の写真: 飯島 一郎
    飯島 一郎
  • 11 分前
  • 読了時間: 4分

葉が食われた枝を目の前にすると、手はまず薬に伸びる。虫がいる、だから消す。順番としてはまっすぐです。けれどその枝をしばらく見ていると、別の順番が見えてきます。虫がいるということは、その虫を食べる生き物を呼べる庭でもある、ということです。

剪定屋空 木鳥商店の人工巣洞。伐採木を活かした自然木の巣箱

剪定屋空がお客様のお庭でよくお話しするのが、この一手です。害虫を減らすのではなく、害虫を食べる生き物を増やす。今日はその考え方と、剪定屋空がまとめている生き物が来る庭のつくり方をお伝えします。


シジュウカラは、1日に500匹の虫を運ぶ


庭の害虫を最もよく食べてくれる身近な鳥が、シジュウカラです。春から初夏、ヒナを育てている親鳥は、毛虫や青虫を巣にせっせと運びます。育雛期のシジュウカラ夫婦が、たった1日で約500匹の虫を巣に運んだ記録があります。


ヒナ1羽あたり、1日およそ50匹の計算です(出典: 虫を食べる野鳥類 シジュウカラ/kamemusi.no-mania.com)。


孵化から巣立ちまでは約20日間(出典: バードリサーチ 巣箱プロジェクト https://www.bird-research.jp/1_katsudo/subako/kosodate_new.html )。


その3週間、庭のあちこちで毛虫が消えていきます。噴霧器では届かない高い枝の先まで、鳥は自分で飛んでいきます。


50年前の防除の本が、すでに書いていたこと


これは新しい流行ではありません。1975年に出た造園の害虫防除の専門書、喜多村昭『植木の害虫』が、農薬より先にやることとして小鳥を呼ぶことを挙げています

その本の第4章、被害回復のための手当の中に、天敵の保護という節があります。薬剤散布は天敵まで殺してしまい、かえって害虫が増えることがある、だから天敵が自然に発生しているかをよく見極めてから使いたい、と書かれています。そして予防対策の一つとして、小鳥の誘致がはっきり示されています。


原文には、こうあります。小鳥類は多くの害虫を捕食する天敵であるので、ナンテン、トキワサンザシ、タチバナモドキ、カキ、センダン、ムクノキなど実のなる木を庭に植栽すると、ムクドリ、オナガ、ヒヨドリなどが集まる。


また、えさ台をつくって鳥を招くとよい、と(出典: 喜多村昭『植木の害虫』1975年・第4章 p58/


薬をまく前に、実のなる木と、えさ台と、水場で鳥を呼ぶ。半世紀前の専門家が書いた順番を、剪定屋空はいまの庭で続けています。


鳥を呼ぶ、三つの手だて


生き物が来る庭は、次の三つで組み立てます。


一つ、食べるもの。ナンテンやカキ、ムクノキなど実のなる木を植えます。高木から低木、下草まで、鳥や虫が隠れられる多層の植栽にします。刈り込みすぎて藪を全部なくすと、隠れ場所も消えます。


二つ、飲むもの。浅い水場を一つ置きます。鳥は水を飲み、水浴びをします。夏場は特に効きます。


三つ、住むところ。巣箱です。剪定屋空では、木鳥商店で伐採木を活かした人工巣洞をつくっています。切った木を捨てず、自然の樹洞に近い形の巣箱にして庭に戻します。シジュウカラやヤマガラ、フクロウ用まで、庭に合わせてつくれます。


生き物が来る庭


剪定屋空がまとめているのは、この一連を一本の線にしたつくり方です。


まず、いまの庭に何が来ているかを見る庭の診断。次に、その庭に合う実のなる木の提案。そして水場と巣箱の設置。最後に、巣箱に鳥が入ったかどうかのデータの記録です。


鳥が巣箱に入り、卵を産む。それは庭に生態系が回りはじめた証明です。剪定屋空が協力する鈴鹿さんぽ道(沖植物園)の人工巣洞では、シジュウカラの入居と産卵を確認しています。菰野町ではフクロウの巣箱も設置しました。緑の量ではなく、そこに戻ってきた生き物の質で庭を見る。これが剪定屋空の考える生き物が来る庭です。


剪定屋空が製作・設置したフクロウ用の人工巣洞

良いことばかりではありません。三つ、正直にお伝えします。


一つ、時間がかかります。木を植えて実がなり、鳥が庭を覚えるまで、年単位でかかります。すぐには来ません。


二つ、実のなる木には毒を持つものもあります。たとえばセンダンの実は、ヒヨドリやムクドリは食べますが、人や犬には有毒です。


小さなお子様やペットがいるお庭では、樹種の選び方と植える場所に配慮が必要です。剪定屋空は、そのお庭に合う木を一緒に選びます。


三つ、これで農薬が完全にいらなくなるわけではありません。大発生したときは、天敵を守りながら部分的に薬を使う判断もします。鳥を呼ぶのは、薬を減らすための土台づくりです。


害虫を減らすのではなく、食べる生き物を増やす


庭は、手を入れれば入れるほど生き物が減るとは限りません。実のなる木を一本足し、水場を一つ置き、巣箱を一つ掛ける。それだけで、庭は自分で害虫を抑える力を取り戻していきます。


作って終わりではありません。鳥が来て、虫が減り、翌年また鳥が戻る。その巡りを一緒に見守るところまでが、剪定屋空の仕事です。生き物が来る庭に興味がある方は、剪定屋空までお気軽にご相談ください。まずはいまのお庭に何が来ているか、一緒に見るところから始めます。


ご相談はこちらから: https://www.senteiyasora.com/contact

最終更新: 2026年07月

 
 
bottom of page