農地の隅で育ったエノキの伐採 オオムラサキが宿る木
- 飯島 一郎

- 5月31日
- 読了時間: 3分
農地の隅に、枝を伸ばしたエノキがありました。誰かが植えたわけではない。種がそこに落ち、芽を出し、いつのまにか大きくなっていたとご相談をいただきました。
伐採の前に、まずお清めをしました。剪定屋空では、長年その場所に根を張ってきた木に対して、いつもそうしています。

この度ご依頼いただいたのは、三重県の農地・畑敷地に自生したエノキの伐採です。
複数の幹が絡み合うように育ち、高さは約8メートル。
エノキは一人生えの旺盛な木です。種子が土の中で長期間休眠し、頭上が開けたタイミングで芽を出す。
農地の端、空き地、道路の脇、神社の境内
気づかないうちに大木になっているのがエノキという木の特性です。

伐採前のお清め。長年この場所に根を張ってきた木への敬意を込めて、作業の前に必ず行っています。
エノキという木のこと

エノキ(榎)はアサ科エノキ属の落葉広葉樹で、樹高は15〜25メートルに達する高木です。「榎」という字は夏の木陰を象徴するとも言われ、江戸時代には街道の一里塚に植えられた旅人の休み木でもありました。
根張りの美しさもこの木の特徴のひとつです。板根状に広がる根は日本の樹木の中でも特に力強く、アスファルトや側溝を持ち上げることもあるほどです。長い年月をかけて地面と深く結びついた、その存在感があります。

ただ、萌芽力が非常に強い木でもあります。
切断面の周りから多数の新芽を出す性質があるため、伐採後は切り株への根がれ処理を行い除草剤原液と展着剤を刷毛で丁寧に塗布する作業が欠かせません。
今回もしっかりと施させていただきました。
オオムラサキの食草としてのエノキ
エノキには、ひとつ知っていただきたい生態があります。日本の国蝶「オオムラサキ(大紫)」の幼虫の食草が、このエノキです。
オオムラサキの幼虫は、秋が深まるとエノキの木から降りてきて、根元の落ち葉の下に潜り込み、そのまま冬を越します。春になり、エノキが芽吹くころになると幹を登り始め、新しい葉を食べながら成長し、初夏に羽化します。

一本のエノキは蝶の家でもある。根元の落ち葉は蝶の越冬の場所でもあります。そういう視点で木と向き合うと、どう伐るかだけでなく何をつないでいたかが見えてきます。
根がれ処理と搬出

伐採は複数幹を順次処理していく形で進めました。枝木・落ち葉の搬出は軽トラ2車分。


最後に敷地を清掃し、農地としての作業環境を整えてお引き渡しとなりました。この度はご依頼いただきありがとうございました。
三重県東員町でのエノキ伐採事例もご覧ください → 三重県東員町にてエノキの伐採作業
木を切ることは、関係を終わらせることではなく伐った後も、その場所に木がいた記憶は残る。だから丁寧に。
施工内容
樹種:エノキ(複数幹・高さ約8m)
作業内容:伐採・枝木落ち葉搬出処分(軽トラ2車)・根がれ処理・お清め・敷地清掃
場所:三重県
施工日:2026年5月23日







