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亀山市の自然を未来へつなぐ竹林管理-真竹の竹林が「かめやま生物多様性共生区域」に認定されました

  • 執筆者の写真: 三重県剪定伐採お庭のお手入れ専門店 剪定屋空
    三重県剪定伐採お庭のお手入れ専門店 剪定屋空
  • 18 時間前
  • 読了時間: 6分

2025年10月7日、亀山市役所で行われた認定式において、私たち剪定屋空が管理に携わってきた真竹の竹林が、正式に「かめやま生物多様性共生区域」として認定されました。


施主様が市役所で認定状を受け取られたとご報告をいただき、これまでの現地調査・段階的整備・記録が一つの形となったことを、とてもありがたく感じています。


かめやま生物多様性共生区域 認定区域一覧


亀山市の自然を未来へつなぐ竹林管理-真竹の竹林が「かめやま生物多様性共生区域」に認定されました

この竹林は、単に竹林をきれいにするための整備ではなく、過密化した真竹林を、地域の生態系ネットワークの一部として再び機能させることを目的に、亀山市が進める制度の取り組みと合わせて進めてきた場所です。


この記事では、制度の位置づけと、今回の竹林で行ってきた具体的な管理内容をまとめておきます。今後同様の整備や認定を目指す方の参考にもなれば幸いです。



かめやま生物多様性共生区域認定制度とは


亀山市は令和5年度から、市内に点在する「価値のある自然環境」を見える化し、保全と再生を後押しするために「生物多様性共生区域認定制度」を始めました。里山や寺社林、企業緑地、農地まわりの小さな林縁など、人の暮らしに近い場所にある自然を対象とし、在来種の保護・外来種の抑制・モニタリングの実施などが継続して行われている区域を、市が認定という形で評価する仕組みです。


亀山市はもともと鈴鹿山脈からの水辺環境と里山が近接し、植物1,600種超・鳥類130種など多様な生物が確認されている地域です。その一方で、竹林の放置や外来植物の侵入、耕作放棄地の増加など、全国の里山と同じ課題も抱えています。こうした“人の手が少し要る自然”を、市民・事業者・寺社・企業がそれぞれの立場で守っていけるようにしたのがこの制度です。



認定に至るまでの流れ


今回認定された真竹の竹林では、2024年春から本格的な整備を開始し、2025年7月28日には市の産業環境部 生物多様性・獣害対策室のご担当者様、審査に関わる皆さまに現地を見ていただきました。


かめやま生物多様性共生区域認定制度とは

過密な真竹が90%以上を占め、林床がほぼ光を得られない状態からのスタートでしたが、


過密な真竹が90%以上を占め、林床がほぼ光を得られない状態からのスタートでしたが、

三重県 竹手入れ

三重県 竹林整備

* 筍の選択的除去による林縁からの拡大防止

* 下層植生を残す「選択的下刈り」

* 年15〜20%ずつの段階的な間伐で急変を防ぐ

* モニタリング手法(コドラート・ラインセンサス・ピットフォール・トレイルカメラ)の併用


といった整備・調査を計画として持っていることが評価の土台にもなりました。

整備当初は下草や実生の樹木はほぼ確認されませんでしたが、


竹林生物多様性

竹林の生物多様性

光を浴びて実生から徐々に成長しています。


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この竹林が抱えていた課題


もともとの状態は、典型的な過密真竹林でした。


三重県 竹林整備


真竹が密生し、下層植生がほとんど無い

乾燥と土壌の痩せが進み、落葉広葉樹の実生が育ちにくい

林縁部から隣接地へ拡大するリスクがある

外来植物の侵入が点的に見られる


このまま放置すれば、景観・防災・生物多様性の面でマイナスが大きくなる一方です。そこで竹林をなくすのではなく、竹林を広葉樹林に寄せるための時間をかけた管理という方針をとりました。


これは伐って終わりではなく、照度・落葉量・土壌微生物・動物の通行など、森を成立させる要素を少しずつ戻していく考え方です。



年間を通じた管理とモニタリング



整備は四季で役割を分けています。


春(4〜5月)

筍の約70%を折り、特に林縁5m以内を重点的に除去して拡大を防ぎます。同時にムクノキ・アオキ・ヤブツバキなど、既に出ている在来実生の周囲だけ下草を取って生育を助けます。


夏(6〜8月)

トレイルカメラやピットフォールトラップを設置し、地表性の昆虫や小型の生物相を確認します。台風後には倒竹や枯死竹を除去し、風害に強い林内の動線を保ちます。


秋(9〜11月)

外来種や過度に繁る草本だけを選んで刈る「選択的下刈り」を行います。ここで全部を刈ってしまうと、せっかく入りはじめた在来の幼木が減ってしまうので、あくまで“残すものを見ながら”の作業です。


冬(12〜3月)

年間15〜20%ずつ竹を間引き、最終的には10aあたり250本を目標に密度を落としていきます。枝はマルチング材に再利用し、土壌への有機物供給も兼ねます。


このように、伐る・測る・残すをセットにした順応的管理を設計していたことが、今回の認定にもつながりました。



調査手法を組み合わせる理由


竹林の再生がどれだけできているのかは定期的な観察や調査などが不可欠です。


1. コドラート法:5×5mの区画を固定し、季節・年度をまたいで植生の変化を記録

2. ラインセンサス:決めたルートを歩き、鳥類・昆虫・哺乳類の痕跡をリストアップ

3. ピットフォールトラップ:地表性の小動物を簡易的に捕獲し、土壌環境の回復度をみる

4. トレイルカメラ:イノシシ・シカ・ハクビシンなど中〜大型動物の出現頻度を確認


この4つを組み合わせると、間伐したら植物が増えただけでなく、落葉が増えて昆虫が増えた。動物の通り道が安定したといった多層の変化を示すことができます。

(さらに今後は生物多様性評価手法などや多ツールなども取り入れていく)


いろいろな方と情報を共有するには、この見える化がとても有効です。



竹林をなくさず、共生させるという考え方


かめやま生物多様性共生区域


真竹は人の暮らしに深く関わってきた植物であり多くの恩恵を日頃から私たちはいろいろな所で受けている事を忘れないようにしていくことが大事です。 


実際、今回の計画でも2027年以降に斜面の粗朶工を予定し、2028年以降は地域性苗木を入れて常緑広葉樹を増やす段階に入る想定です。


竹を資源としても扱いながら、生物多様性の高い林へ徐々に変えていく。これが今回のプロジェクトの目標です。



今後に向けて


認定はゴールではなく、ここから先の記録・整備・共有などの始まりに。


* モニタリング結果を毎年整備計画に反映する

* 外来種や獣害が増えたら対策を上乗せする

* 補植の時期を土壌条件に合わせて前後させる

* 竹の再利用を活性化する


といった計画も考慮しながら運用していきます。庭の管理と同じで、自然環境も毎年まったく同じ手入れの仕方ではなく、観察結果に応じて少しずつ変えていくのがもっとも理想的だと感じます。




剪定屋空について


三重県剪定伐採お庭のお手入れ専門店 剪定屋空


今日も三重県のお庭に


三重県菰野町の剪定伐採専門店・剪定屋空です。

四日市市、鈴鹿市、桑名市、亀山市、津市周辺で、

庭木の剪定・伐採・竹林整備など、

樹木に関するお悩みをお客様と庭木に合ったご提案で解消します。


▶ 公式サイト:https://www.senteiyasora.com



今日できる観察としては、竹林やお庭の林床にどのくらい光が届いているか。実生が出ているかを一度見てみることをおすすめします。光と実生が見えれば、そこから先の再生はだいぶ描きやすくなります。


ぜひもっと竹林を身近に感じていただけたらと思います。

 
 
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