金木犀の香り、好き?嫌い?虫も避ける香りの意味は キンモクセイ

この時期、遠くからでもフワッと香ってくるキンモクセイ(金木犀)の香り。キンモクセイの香り、好きですか?嫌いですか?

フレグランスとしても人気の高い香りであり、キンモクセイがものすごく好きなんです、という人にもよく出逢う。そして逆に、キンモクセイのニオイは大嫌い、気持ち悪くなる、という人にも。
風にのって香る甘い芳香に気づくと、あぁ金木犀の時期だ、と短い季節のタイミングを感じて心情的には響いてくるけれど、香り自体の甘ったるさや容赦ない到来に拒否反応がある…という人も一定数いるようです。
嫌いな人にはかなり強烈なニオイのようで、芳香剤ぽい、フエキ糊(人工的なニオイを連想させるのでしょうか?)、頭痛がする、狭い空間での香水がツライ…など、かなり負担もあるようです。
しかも自然界においても、あの香りには独特の要素があり、香りの成分のひとつにあるγ-デカラクトンという成分には、虫を寄せ付けないという効果もあるのだとか。
植物は受粉のために虫を寄せ付けたいものだと思われがちですが、この成分はモンシロチョウにとって忌避成分。花を訪れるのは、わずかにアブの仲間くらいといわれます。つまりキンモクセイは、昆虫を選んで香っているとも考えられています。

モンシロチョウは、一度も花に来なかった
この香りと虫の関係を調べたのが、広島大学の大村尚さんの研究です(比較生理生化学 第23巻 2006年)。
予備実験で、モンシロチョウはチョウの好む花の香りをつけた黄色い造花には頻繁に通ったのに、キンモクセイの生花には一度も訪れなかった、と書かれています。
そこで花から香りを取り出し、成分を分けて一つずつ試していくと、チョウが蜜を吸おうとする動きを抑える成分が見つかりました。それがγ-デカラクトンです。造花に塗ると、チョウの訪れる数ははっきり減りました。
ただし論文は、この香りの生態的な意味は定かでない、としています。ある種の虫を遠ざけて運び手を選んでいるのか。それとも原産地には、この香りに強く引き寄せられる運び手がいるのか。答えはまだ出ていません。
日本のキンモクセイは、実をつけません
同じ論文に、もうひとつ見落とせない一文があります。キンモクセイは雄株と雌株が分かれた木で、日本では雄株だけが植えられている、というものです。
東京学芸大学の植物のページには、江戸時代に中国から持ち込まれたのが花つきのよい雄の木で、その後は種子からではなく取り木で増やされてきた、とあります。花の中に雌しべの痕跡はあっても、実を結ぶところまではいきません。
運び手を選ぶ香りだとしても、日本の庭には、実を結ぶ相手がいないことになります。
NHK出版みんなの趣味の園芸にも、キンモクセイに実がついたといわれることもあるが、大概はギンモクセイである、と書かれています。

香りを楽しむなら、刈り込むより透かす
キンモクセイは、どの枝に花がつくかを見分けにくい木です。
樹木の剪定と整姿という古い剪定の本に、花芽ができるのが開花の前なので、花を残しながら剪定するのはむずかしい、とあります。みんなの趣味の園芸にも、強い剪定は花の咲く枝を失う結果になる、とあります。
うちの現場では、表面を丸く刈り込むことはしていません。刈り込むと、準備された花芽ごと落ちてしまうからです。混み合った枝を付け根から間引いて、風と光を通します。
生垣だけを管理しているお庭では、金木犀を少しだけ透かして、3年もつようにしています。毎年強く手を入れるより、木への負担も、花への影響も小さくすみます。
日当たりも花つきに効きます。みんなの趣味の園芸には、やや耐陰性もあるが、日当たりのよい場所ほど花つきは良好、とあります。透かして内側まで光が入れば、そのぶん花をつける枝もふえていきます。
キンモクセイの基本情報
キンモクセイ(金木犀):モクセイ科 / モクセイ属 原産地:中国
開花期は9月下旬~10月中旬 樹高5~6m程の高木 生垣に適した日陰でも育つ常緑性の樹木 初心者でも育てやすい庭木としても人気。オレンジの芳香のある花をつける。
よくあるご質問
庭のキンモクセイに実がなりません。
日本で植えられているキンモクセイは雄株なので、実はつきません。実がついている木があれば、白い花のギンモクセイであることが多いようです。
今年は花が少なかったです。
前の年の夏から秋に、表面を刈り込んでいないか思い出してみてください。花芽は開花の前にできていて、刈り込むと花芽ごと落ちます。日当たりが足りない場所でも、花つきは落ちます。
キンモクセイは虫よけになりますか。
モンシロチョウに対しては、香りの成分が花を避けさせることが確かめられています。ただ、すべての虫に効くわけではありません。虫よけとして植える木ではなく、秋の香りを楽しむ木として迎えてください。
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