三重県で失敗しない庭じまい 木を伐採して全部なくす前に見てほしい5つのこと

三重県で庭じまいを考えている方へ。木を全部なくす前に、一度だけ見てほしいことがあります。

庭じまいという言葉は、頼む先によって中身がちがいます。木も石もすべて撤去して土間コンクリートにする工事を指すこともあれば、残す木と抜く木を分けて、手入れの楽な庭に作り直すことを指すこともあります。
同じ言葉で、仕上がりは正反対。

相談が増えている理由は、よく分かります。草刈りや剪定が体力的につらくなった。子どもが遠くに住んでいて、実家の庭まで手が回らない。
三重県の空き家率は16.4%で、平成10年から全国平均を上回り続けています(三重県 みえDATABOX・令和5年住宅・土地統計調査)。
愛知県一宮市の工事会社は、2025年の庭じまいの相談が前の年の約2.2倍になったと発表しています。
剪定屋空にも同じ相談が来ます。そのとき樹木を全て無くす前に現地で確認しているからが、光と雑草、暑さ、雨水、家の値段、根の広がりの5つです。

一つ目は光と雑草です。
木の下は暗い。だから草が少ない。防草シートが雑草を抑えるしくみも、じつは同じです。光を通す割合が3%以下のシートでは雑草の発生がゼロ、8%のシートではわずかに生えたという記録があります(佐治 2020・草と緑12巻)。雑草の種には、光を受けて目を覚ますものが多いからです。
木を抜くと、地面に日が当たります。それまで眠っていた種が、次の春に一斉に出てくる。木の陰は、防草効果があります。
防草シートを敷くなら、上に砂利をのせると紫外線から守られて長持ちします。チガヤやスギナのように硬い地下茎で突き抜けてくる草は、シートだけでは止まりません。抜いたあとに何を敷くか、何を植えるかは、抜く前に決めておきたいところです。
二つ目は暑さです。
2026年8月、四日市市のお庭で同じ時刻に測ると、葉の表面は29.7℃、日の当たる土は42.4℃でした。差は12.7℃。

菰野町の町史には、小島の一本松の話が残っています。小島では、母屋の玄関の左手に赤松を一本植えるのが、かつて普通の眺めだったそうです。
土地の人は、松が母屋の湿気を吸い、夏に家が暑くなるのを防ぐのに大いに役立つと言っていました。屋敷の西北に、シイやタモやスギの屋敷森が茂る家もありました(菰野町史 下巻 1997・民俗編 住)。昔の家は、木を家の一部として使っていたのだと思います。
三つ目は雨水です。
アメリカで、害虫の被害を受けた街路樹を一斉に伐採した住宅地があります。伐採のあと、雨水が下水へ流れ出る量はおよそ3割増えました(米国地質調査所 2022)。
葉と枝で雨を受け止め、土へしみこませていた分が、そのまま流れ出るようになったのです。土間コンクリートにすると、その水はすべて側溝へ向かいます。

四つ目は家の値段です。
木を資産として見る考え方があります。家や土地の値段を、広さや駅からの距離、周りの緑などに分けて、それぞれがいくら効いているかを取り出すヘドニック法という方法です。
アメリカ・ジョージア州で844件の売買を調べた研究では、木のある植栽が売値の3.5〜4.5%高に結びついていました。効いていたのは中くらいから大きい木です(Anderson と Cordell 1988)。
オレゴン州ポートランドでは、家の前の街路樹が売値を平均8,870ドル上げ、売れるまでの日数を1.7日縮めていました(Donovan と Butry 2010)。
札幌でも、周りの緑が多い住宅地ほど地価が高いという結果が出ています(愛甲ほか 2008)。
ただし、ポートランドの研究では、敷地の中の木は売値を上げていませんでした。木があれば必ず高く売れる、というわけではありません。

日本の不動産会社の言い方は、もう少し身近です。手入れのされていない庭は買う人によくない印象を与えて評価が下がりやすい。車が欠かせない地域では、駐車場のない家は売りにくい(三井のリハウス)。
荒れた庭はマイナス。手入れされた庭はマイナスにならない。駐車場は要る。三重のような車の暮らしでは、全部なくして駐車場にするか、1本を残して駐車場と並べるか、ここが分かれ道になります。
五つ目は、木の根の広がりです。
木の根のおよそ99%は地表から1メートルまでの土にあり、木の高さの1〜2倍、あるいはそれ以上の範囲に横へ広がっています。
抜根は、見えている幹のまわりだけの作業ではありません。塀や配管、隣の家との距離を、抜く前に見ておく必要があります。

日本だけの話ではありません。イギリスでは前庭の55%が舗装され、王立園芸協会が植栽と水を通す舗装を呼びかけています(RHS 2025)。
ドイツのバーデン=ヴュルテンベルク州は、庭を一面の砂利で覆うことを、2020年から法律で認めていません(新しく作る庭が対象)。
手入れされた庭は、塀の外を歩く人や隣の家にも景色と木陰を提供してくれます。
剪定屋空が庭じまいの相談を受けご提案す前にしているのは、次のようなことです。
1. 残す木と抜く木を、光と風と家との位置で分けます。西日を止めている木、冬の北西の風を受けている木は、抜く前に一度考えます。
2. 抜いたあと日なたになる場所に、何を敷くか、何を植えるかを先に決めます。
3. 駐車場が要るなら、1本を残す配置を一緒に考えます。
4. 根の広がりと、塀や配管との距離を見て、抜根の範囲を決めます。
5. 残した庭が、年に1回の軽い手入れで回る形にします。
庭じまいは、庭をなくす工事ではなく、手入れの量を減らす計画だと考えています。
抜いた木は、戻せません。
三重県で庭じまいを考えている方は、どの木を残しながら管理しやすいお庭にするのが大事です。
最終更新: 2026年10月







