植物本 身近なすごすぎる植物の図鑑。ゆるっと歩いて草や花を観察しよう
- 飯島 一郎

- 2 時間前
- 読了時間: 3分

黄色ベースの明るいカバーにかわいいゆるキャラ系と植物のイラスト。
表紙はもちろん中のページにもすべて漢字にふりがながふってあり、お子さんや親子さんでも楽しめる手に取りやすい植物本、身近なすごすぎる植物の図鑑。
はっぱくん、はなちゃん、たねちゃんの妖精さんが案内してくれるのは、タイトルにもある身近な植物たち。
タンポポ、チューリップ、ドクダミ、シロツメグサ、ケヤキやサクラ、ヒガンバナ、ミニトマトも登場します。
身近にある植物だからこその、どこでも誰でも観察できる植物にスポットを当てていること。
身近にある植物だから知っていそうだけど意外と知らない、という植物のトリビアや豆知識がたっぷり。
その植物の見つけ方(探し方)と観察方法(見方、楽しみ方)も丁寧に教えてくれている、一般人にやさしい実践的な植物観察図鑑といった感じです。
いろいろな角度の写真とイラスト、文章も平易なので、難しい植物解説は苦手だけど植物は好き、という大人も楽しめ、お子さんの夏休みの課題対策にも役立つかも。

個人的には譲り合うように枝葉を広げるケヤキの話、クラウン・シャイネスという言葉が魅力的で写真も印象的でした。
このクラウン・シャイネスについて、少し書かせてください。
私たちの仕事に、まっすぐ関わってくる話だからです。
林を見上げると、隣り合う木の枝先どうしが触れ合わず、葉と葉のあいだに細い川のような隙間ができていることがあります。
英語で Crown shyness、直訳すれば恥ずかしがりの樹冠。
木が隣の木に遠慮しているように見える、あの現象です。
面白いのは、これだけ有名な現象なのに、原因がまだ決着していないことです。
1920年代から議論されていて、いまも確かな理由は分かっていません。
有力な説はいくつかあります。
風で枝どうしがぶつかって、先が折れることで隙間ができるという説。
実際に、風で揺れないよう木を固定したら、この隙間ができなかったという実験があります。
もうひとつは、伸ばした枝が隣の木の枝に触れると、そこで成長を止めるという説。
木が自分で判断して、それ以上は伸ばさない。
どちらにしても、木は隣の存在を感じ取っています。
そして、触れ合わない距離で落ち着く。

ここからは、ぼくが勝手に連想したことです。
透かし剪定という仕事があります。
込み合った枝を間引いて、木の中に光と風が通る隙間をつくる作業です。
やっていることは、木が林のなかで自分でやっていることと、よく似ています。
木は隣との間に隙間をつくる。
私たちは、一本の木の中に隙間をつくる。
込み合ったまま放っておくと、内側の枝が枯れ上がり、蒸れて病気が出ます。
隙間は、無駄な空白ではなく、その木が生きていくために要るものです。
林を見上げてクラウン・シャイネスに気づけるようになると、庭木の枝の詰まり方も見えるようになります。
木を見る目は、たぶんつながっています。
この本が良いと思ったのは、そこなのだと思います。
知識を並べるのではなく、見つけ方と見方を教えてくれる。
気にかけないと気づかない花や葉、根っこの謎が、色々と解明できた気がします。
他にすごすぎるシリーズとして、すごすぎる天気、すごすぎる色などの図鑑もあるようなので、興味のある人はチェックしてみては。

お庭の木が込み合ってきた、風が通らないというときは、お庭の剪定・管理のご相談からお声がけください。三重県で、木の中に隙間をつくる手入れをしています。
身近なすごすぎる植物の図鑑:著 鈴木純(植物観察家、植物生態写真家) KADOKAWA 帯には、ゆるっと歩いて草や花を観察しよう、とあります
最終更新: 2026年08月







