イングリッシュガーデンの夏の庭園管理|刈る場所と、残す場所
- 飯島 一郎

- 2 日前
- 読了時間: 4分
三重県菰野町のお庭にて、生垣の刈込みと芝刈り、除草作業を行いました。
四人で一日、朝八時から夕方十六時までの作業です。夏の庭は、伸びるのが早い。前回の手入れから伸びた分を、一日で戻していきます。

二手に分かれました。一方は東側の通路沿い、レイランディの生垣の刈込みと清掃。もう一方は西のお庭から順に、芝刈り、除草清掃、除草剤の散布へと進みます。
生垣は、葉を残して刈る

東側の通路沿いには、レイランディの生垣が長く続いています。翌日の朝に撮った一枚です。刈り上がった面が、ブロックのように並んでいます。
コニファーの生垣を刈るときに気をつけているのは、葉を残して切ることです。
葉を残さずに枝の奥まで切り込むと、その枝からわき芽が出にくくなり、枝枯れにつながることがあるとされています。
反対に、葉を残しながら定期的に刈り込んでいけば、うろこ状の新しい葉が次々に出てきて、面が詰まっていきます。
生垣が美しく見えるのは、刈った直後だからではありません。刈られ続けてきた年月が、面になって出てきているからです。一度伸びきってから強く切り戻すより、毎年少しずつ刈るほうが、結果として早くきれいになります。
刈る場所と、残す場所
このお庭は、剪定屋空がお手入れさせていただいている中でもイングリッシュガーデンを軸に、幾何学的な区画と、自然風の区画が同居しています。

噴水を中心にした一角は、ボックスウッドの低い生垣で区切られています。刈込みの直後は、光の当たり方まで変わって見えます。

水路に沿って、円錐に仕立てた木が向かい合う一角。芝を刈ると、庭の骨格がはっきりしてきます。

右奥の果樹園ではバークチップを敷いています。芝と砂利の園路の際をきちんと通すと、それだけで庭が締まります。


果樹のエリアと石積みのまわりも、斜面の芝を刈って整えました。

一方で、庭の奥は違う顔をしています。

背の高い宿根草。ここは草丈を残しています。刈り込んでいるのは、人が歩く道だけです。


庭の手入れは、伸びたものをすべて短くする仕事ではなく、どこを刈り、どこを残すかを決める仕事です。
同じ日に、同じ道具で、真逆のことをしています。幾何の区画は締めて、奥は緩める。その差があるから、歩いていて景色が変わります。
虫や鳥から見ても、草丈が残っている場所は意味を持ちます。花が咲き、種ができ、隠れる場所がある。刈り残しではなく、そこにいてもらうための余白です。
最後にクチナシのエリアを手取りで除草しました。密に植わっているところは、機械も除草剤も入れず、手で抜いていきます。時間はかかりますが、そのほうが確実で、株を傷めません。

翌日、石垣の上へ
翌日の日曜日、二人で三十分だけ伺い、石垣の上に除草剤を散布しました。
前日に手が回らなかった一箇所を、翌朝に片づけに行く。
年間管理は、一日で完結させることが目的ではありません。次に来るまでの一か月を、どう持たせるかを考えています。
菰野町は、県が自然休養村に指定した町です(三重の自然 自然保護読本 p79-80)。御在所の山が近く、庭の周囲にも雑木が控えています。
生垣の向こう側がすぐ林、という環境で庭を保つには、押し返す力と、迎え入れる余白の両方が要ります。
よくあるご質問
Q. コニファーの生垣は、いつ刈るのがよいですか。
A. 生育期に入ってから、伸びた分を数回に分けて刈るのが基本です。夏の刈込みは、伸びが落ち着く前に一度形を戻しておく意味があります。真冬の強い切り戻しは、葉のない部分まで切ってしまうと戻りにくいので避けています。
Q. 広い庭は、一度に全部きれいにしたほうがよいですか。
A. 広さがあるお庭ほど、優先順位をつけて回すほうがうまくいきます。目に触れる場所と、季節ごとに動く場所を分けて、一日の作業を組み立てます。
Q. 除草剤と手取りは、どう使い分けていますか。
A. 砂利や石垣、園路のように植栽から離れた場所は除草剤、株もとや密植のエリアは手取りにしています。薬剤で早く広く、手で確実に。場所ごとに分けるのが、結果として庭を傷めません。
菰野町での庭園定期管理は、こちらの記事でもご紹介しています。芝刈りと剪定、除草を一日で回した回の記録です。三重県菰野町にてお庭定期管理
雨の日の芝除草と、初夏のシランを見た回はこちらです。雨の庭で芝除草を行い、シランとジュンベリーの初夏を見る







