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有用竹林としての再生を目指す竹林整備 ハチク(淡竹)の活用

  • 執筆者の写真: 三重県剪定伐採お庭のお手入れ専門店 剪定屋空
    三重県剪定伐採お庭のお手入れ専門店 剪定屋空
  • 3 日前
  • 読了時間: 3分

2025年11月1日、奈良県生駒市の高山茶筌協同組合の皆様が、私たち剪定屋空が管理する三重県鈴鹿市内にある剪定屋空で竹の管理をさせていただいているハチク竹林(淡竹)を視察に訪れていただきました。


高山茶筌の職人がハチク竹を手に取り節の状態を確認している様子(三重県鈴鹿市の竹林にて) 説明文: 高山茶筌協同組合の職人の方々が、竹材の品質を目視と手触りで確かめながら、節間や真円度を確認している場面。

この竹林整備は、単に荒廃竹林を手入れするためのものではなく、竹を育てるための有用竹林としての再生プロジェクトでもあります。


茶筌を支える竹 ─ 淡竹の役割

茶筌を支える竹 ─ 淡竹の役割
茶筌用竹材の選別に使う木製ゲージと記録ノート 説明文: 現地視察で使用された「合格・不合格」判定用の木製ゲージ。竹の径や節の形状を視覚的に比較。
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茶筌(ちゃせん)は、抹茶を点てるために使われる竹の道具です。その中でも奈良県生駒市高山町で作られる高山茶筌は、室町時代から五百年以上にわたり受け継がれる茶筌産地です。


茶筌の素材には淡竹が欠かせません。真竹や孟宗竹に比べて繊維が柔らかく、節間が長く、割ったときに細くしなやかに整う。この特性が、茶筌の穂を美しく仕上げるために最も適しています。


しかし近年、全国的にハチクの一斉開花や枯死や放置竹林の増加が進み、茶筌づくりに使える良質な竹材が減少しています。全国的に見ても竹の自給が難しくなってきているようです。



三重の竹を文化の竹へ ─ 現地視察の目的

三重の竹を文化の竹へ ─ 現地視察の目的

今回の視察では、三重県の竹林で育つハチクが茶筌用竹材として活用できるかどうかなど、竹の品質チェックなども含めて高山茶筌協同組合の代表理事をはじめ、職人の方々に現地をご覧いただきました。


現地では、竹の太さ・節間・色艶・竹齢などを確認され、組合員の方々からは次のような言葉をいただきました。


「竹の立ち姿がよく、節の間も素直で、十分に茶筌材としての可能性がある。」


竹齢2〜3年生を中心に、来期は20〜30本の試験伐採を予定しています。伐採後は高山に送り、加工適性・乾燥状態・割りやすさなどを評価していただく流れです。



有用竹林としての整備方針

有用竹林としての整備方針

剪定屋空では、ハチク竹林を伐る対象としてではなく、地域文化や伝統工芸を支える有用竹林として再生させることを目指しています。


主な整備方針


  1. 段階的な選伐管理 竹を一斉に伐採せず、竹齢構成を保ちながら間伐を繰り返す。 これにより、太く真っ直ぐな竹の生育環境を維持。

  2. 伐採時期の最適化(9〜1月) 特に10月〜12月伐採材は、新年用の茶筌向けとして理想的。

  3. データ記録と共有 竹齢・伐採日・節間長などを台帳化し、品質変化を追跡。

  4. 文化資源としての連携 高山茶筌協同組合との継続的な意見交換を通じ、 地域連携による文化を支える竹林モデルを構築。



竹林の再生は、文化の再生へ


竹林の再生は、文化の再生へ

竹は繁殖力が強い反面、放置されると山を覆い、生態系を乱す存在にもなります。しかし、人が手を入れることで、竹はいろいろな恩恵を私たちに授けてくれます。


今回の高山茶筌協同組合様の訪問は、その循環のはじまりを象徴する出来事だと感じております。



一本の竹が、職人の手によって茶筌となり、茶室での一服の静寂を生む——



その背景には、竹を見守る人々の時間と手間、そして生かすという意思があります。



剪定屋空では、今後も地域の竹林を有用資源として再生し、文化と環境を両立させる竹林管理なども続けてまいります。


竹を伐ることは、終わりではなく


始まり。そこから新しい循環とつながりが生まれていくように感じます。



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