春と言えば「桜の開花」で心躍る日本ですが、もうひとつの愛され桜植物「桜草(サクラソウ)」の季節でもあります。
画像のサクラソウは園芸種の西洋サクラソウでプリムラの名前で流通している品種。ガーデナーの方に人気の花ではありますが、本来サクラソウ(桜草)と称されるのは日本の自生種で伝統園芸植物に認定された「日本サクラソウ」のことを指します。
日本・朝鮮半島・中国東北部を原産とし、かつては川岸や草地に自生、群生していました。現在では群生地は希少、さいたま市桜区にある「田島ヶ原サクラソウ自生地」などは特別天然記念物指定として保護されています。
渡来して以来、江戸時代中期以降の園芸家によって野生株の中から変わった花が探し出され、競い合うように多くの品種が作り出されてきました。結果、現在の品種は300種以上。
また江戸時代天保年間に創案された伝統的な「サクラソウ花壇」、ひな壇のような展示台によしずの壁を配しサクラソウの鉢を並べて鑑賞するという粋なスタイルも確立。サイズは間口一間(1.8m)、5段の棚、33~38鉢を千鳥状に飾るといった様式でズラリと並んだ様々な美しさ可憐さのサクラソウ、見応えがありそうですね。
千葉の国立歴史民俗博物館でも4月に「伝統の桜草」展が恒例開催されています。江戸享保年間 最古の品種と言われる<南京小桜/なんきんこざくら>、白く可憐な<松の雪/まつのゆき>(園芸種)や田島紅/たじまべに(野生種)などが伝統的なサクラソウ花壇に並び一同に鑑賞できる催しとなっているので、興味のある方はぜひ。
国立歴史民俗博物館 伝統の桜草 特別企画展