イチョウの黄色とモミジの赤はなぜ違う。黄は現れる色、赤は作られる色です
- 飯島 一郎

- 2019年11月12日
- 読了時間: 4分
更新日:8月4日
秋になると、イチョウは黄色、モミジは赤。同じ季節に、同じように葉を落とす木なのに、色が違います。
この違いは、木の種類の差というより、葉の中で起きていることの差です。片方は現れるだけ、もう片方は作っています。

緑が減ると、隠れていた黄が出てくる
葉が緑に見えるのは、クロロフィルという緑の色素が量で勝っているからです。実は同じ葉の中に、カロテノイドという黄色の色素も最初から入っています。緑に隠れて見えていないだけです。
秋になって日が短くなり、気温が下がると、光合成の効率が落ちてクロロフィルが分解されていきます。緑が減ると、ずっとそこにあった黄色が表に出てきます。
これが黄葉です。イチョウの黄色は、新しく生まれた色ではありません。夏のあいだも、緑の裏側にずっとありました。

赤は、秋になってから作られる
赤は事情が違います。
葉を落とす前、木は葉の付け根に離層という細胞の層を作ります。葉と枝を切り離す準備です。この離層ができると、葉で作った糖が枝へ戻れなくなり、葉の中に溜まっていきます。
行き場を失った糖を材料にして、葉はアントシアニンという赤い色素を新しく作ります。これが紅葉です。
つまり黄色は引き算で現れ、赤は足し算で作られます。同じ秋の色でも、成り立ちが逆です。

同じ木なのに、枝によって色が違う理由
ここからが現場の話です。
お客様の庭で毎年見ていると、一本のモミジの中でも色づきが揃わないことに気づきます。南側の枝は濃い赤、内側や北側の枝はオレンジや黄緑のまま、ということが起こります。
赤を作るには日光が要ります。アントシアニンは光を受けて合成されるので、日の当たる枝ほど濃く出ます。逆に、枝が混んで内側まで光が届かない木は、赤が出きらないまま散ります。
イチョウはこれが起こりにくい。黄色は作るのではなく現れるだけなので、日当たりの差が出にくいのです。同じ庭でイチョウは毎年安定して黄色く、モミジは年によって出来が違う。この差は、そこから来ています。

紅葉がきれいに出る庭と、出ない庭
赤がよく出る条件は、昼に日がよく当たり、夜しっかり冷えることです。庭でこれを左右するのは、多くの場合その木自身ではなく、周りです。
上に大きな木があって日陰になっている。
枝が混みすぎて、木の内側まで光が入っていない。
建物の陰に入って、午後の光が届かない。
このうち、こちらで手を入れられるのは上の二つです。上木の枝を抜いて光を落とす、あるいはモミジ自身の内側を透かして、枝の一本一本に光を当てる。翌年の秋に、色の出方が変わります。
紅葉がぼやけるという相談は、実はモミジの話ではなく、その上に立っている木の話だったということがよくあります。
剪定の時期は、色が終わってから
紅葉している最中の木は、まだ仕事をしています。葉の中の養分を回収して、枝や根へ送り返している途中です。
だから、色がついているうちに枝を落とすのは急ぎすぎです。落葉樹の剪定は、葉が落ちきってからが基本になります。葉が無くなると枝ぶりがはっきり見えるので、どこを抜くかの判断もしやすくなります。
イチョウやモミジの剪定を考えるなら、色を最後まで楽しんでから、落ち葉掃除のついでに、くらいの順番がちょうどいい。
よくあるご質問
同じモミジなのに、去年より色が悪いのはなぜですか。
赤い色素は毎年その秋に作られるので、その年の天気に左右されます。日照が少ない秋や、昼夜の気温差が小さい年は色が浅くなります。加えて、周りの木が育って日陰が増えていることもあります。数年単位で年々悪くなっている場合は、天気ではなく環境の変化を疑ってください。
イチョウの黄色が茶色っぽくなるのはなぜですか。
黄色が抜けたのではなく、葉が傷んで褐色の成分が目立っている状態です。乾燥や強風、根の傷みで葉が早く弱ると起こります。落葉前に一気に茶色くなる年は、夏の水切れを疑うことがあります。
紅葉をきれいに出すために、肥料をやったほうがいいですか。
秋の追肥はおすすめしません。特に窒素分が多いと、葉が緑を保とうとして色づきが遅れます。紅葉を良くしたいときに効くのは、肥料より光の条件です。

色の違いは、木の事情の違いです
黄色は隠れていたものが出てくる色、赤はその秋に作られる色。そう思って庭を見ると、毎年同じに見えていた景色が少し違って見えてきます。
今年のモミジがどうも冴えない、去年のほうがきれいだった。そう感じたら、木ではなく、その木に届いている光を見てください。
剪定屋空は三重県菰野町を拠点に、四日市市・鈴鹿市・亀山市・いなべ市・桑名市などで庭木の剪定と年間管理をしています。紅葉が年々ぼやけてきた、庭が暗くなってきた、といったご相談も承ります。
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