庭の手入れは、どこまで責任を持てるのか-土を見ることは、庭を見ること
- 三重県剪定伐採お庭のお手入れ専門店 剪定屋空

- 1 日前
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日々いろいろなお庭に触れさせていただき庭の仕事をしていると、剪定や掃除、植栽といった目に見える手入れに意識が向きがちです。
もちろんそれらは、庭の印象を決める大切な要素で、庭師の技術が最も分かりやすく表れる部分でもあります。
けれど、長く庭と向き合っていると、どうしても拭えない違和感を覚えるようになりました。
手入れしているはずなのに、木全体の元気が、年々落ちてきているように感じる
老木であることや昨今の温暖化の一因だからしょうがない。
はたしてそうなのか。。。
それだけでは説明できない、庭全体に漂う衰えのようなものを感じる場面が増えてきました。
外面的手入れのみでは足りないのではないか
これまで私たちは、剪定、施肥、病害虫対策といった管理を
積み重ねてきました。それ自体は、間違いなく必要な仕事です。
しかし同時に、長年の管理の中で使われてきた薬剤や、人の動線による踏圧、落ち葉を取り除き続けることなどが、土の中にどんな影響を与えてきたのかは、ほとんど確かめられていませんでした。
木は、土に根を張り、その土の状態に生かされています。人もまた土なしでは生きられない。 とても大事なものだと分かっていてもなんとなく常にあるものとして捉えてしまう。
もし土の中で、微生物や菌といった見えない働き手が減ってしまっていたとしたら、
どれだけ外から整えても、木は本来の力を発揮できないのではないか。
そう考えるようになりました。
農家が土を見るように、庭も土を見るべきではないか

農業の世界では、作物の出来に責任を持つために、土壌分析を行うことは特別なことではありません。
今、土に何があり、何が足りず、どんな状態なのか。
それを知らずに作物を育てることは、結果に対する責任を放棄することにもつながります。
私は、庭の仕事も同じだと思っています。
庭は生きた作品であると同時に、生きものの命を預かる場でもあります。
そこに植えた樹木が、何十年もその場所で生きていく以上、目に見えない部分にどこまで責任を持てるかが、庭師の姿勢を問うのではないでしょうか。
土壌分析の打ち合わせで感じたこと
今回、土壌分析を専門とする方々と打ち合わせを行いました。
その中で強く印象に残ったのは、土は、ちゃんとした分析をすることの大事さがわかりました。
庭の現場では、感覚や経験による判断が大きな力を持ちます。それは否定されるものではありません。
けれど、
感覚だけでは説明できないことが増えてきている
とも感じました。
庭がなぜ弱ってきたのか。手入れによって、土や木は本当に回復しているのか。
それを他者に説明し、将来に引き継ぐためには、記録として残る基準点が必要になります。
今回の土壌分析は、答えを出すためのものではなく、今の状態を知るためのものです。
知りたいのは栄養ではなく土との関係性
以前、別の機関で土壌分析を行い、pHやリン酸、カリウム、カルシウム、土の硬さなどを測定したことがあります。
それは、施肥や資材選びの指標として、とても有効なものでした。
しかし今回、私が知りたいのは、何が足りないかよりも、
土の中で、微生物はどれくらい生きているのか樹木と菌は、きちんと共生できているのか
という、土と木の関係性です。
菌根菌は、樹木の根と共生し、水や養分を集め、木の成長を内側から支えています。
もしこの共生関係が弱っていれば、木は常に無理をして生きている状態になります。
この菌根の状態を、感覚ではなく、記録として残したいと考えています。
もうひとつの視点- 炭素を貯蓄する庭
同時に関心を持っているのが、庭がどれだけ炭素を土に蓄えているのか
という点です。
森林では、土壌中の炭素貯留が注目されていますが、人の手が入る庭については、
ほとんど語られてきませんでした。
けれど、落ち葉が循環し、根が更新され、微生物が働く土であれば、庭もまた炭素を蓄える豊かな場所になれるはずです。
それは、景観や文化としての庭に、環境としての役割を重ねることでもあります。
カーボンニュートラルという言葉が広がる今、庭が持つ可能性を、数字として把握してみたいと思いました。
外面的な手入れと、内面的な手入れ
庭の機能は、剪定や掃除といった外面的な手入れと、土壌環境を整える内面的な手入れが合わさって、初めて発揮されるものだと思います。
どちらか一方だけでは、足りません。
今回の土壌分析は、すぐに成果を求めるためのものではありません。
まずは今の状態を知り、そこから先を考えるための基準点をつくる試みです。
数年後、同じ場所で再び測ったときに、土や木がどう変わっているのか。
その変化を、きちんと説明できる庭師でありたいと考えています。
土を見ることは、庭を見ること
庭は、目に見える景色だけで成り立っているわけではありません。
その下で、見えない世界が支えています。
これからは、外から庭を見るだけでなく、土の中から庭を考えていきたい。
そうした姿勢そのものが、これからの庭の価値につながっていくと信じています。







