夏の代表的な野菜のひとつに、トマトがあります。
ヨーロッパでは「赤くなれば、お医者さんが青くなる」といわれるほど、栄養価の高い野菜です。
そんなトマトですが、夏が旬である一方、今では一年中どの季節でも見ることができます。
どうして夏の野菜が一年中売られているのだろうと疑問に思ったことがある人も多いのではないでしょうか。「どうしてトマトが冬に実るのか」と聞かれたら、「暖かい温室で栽培しているから」という答えがぱっと思い浮かぶかもしれません。実際、冬に売られているトマトが、温室で栽培されているというのは事実です。
ですが、それだけでは「どうしてトマトが冬に実るのか」という問いの答えには不十分だったりします。というのも、多くの植物では、果実が実るためには花を咲かせる必要があり、また花が咲くためには季節によって変化する昼と夜の長さが重要なポイントになっているのです。
そのため、季節外れに花を咲かせるためには、電照菊のように昼と夜の長さを調節する必要があり、単純に温室で栽培しただけでは不十分なのです。
しかし幸いなことに、トマトは多くの植物と異なり、ある大きさになると昼と夜の長さに関係なく花を咲かせるという特徴があります。つまり多くの植物よりも季節外れに育てやすい植物と言えるのです。