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サルスベリ(百日紅)の剪定と育て方|花が咲かない理由は、切る場所と時期にあります

  • 執筆者の写真: 飯島 一郎
    飯島 一郎
  • 13 時間前
  • 読了時間: 6分

サルスベリの花が咲かない。枝ばかり伸びる。そういうご相談を、夏の終わりによくいただきます。


原因はほとんどの場合、ひとつのことに行き当たります。


サルスベリの花芽は、今年伸びた枝の先につきます。


だから、夏に伸びた枝の先を切ってしまうと、そこにあった花芽ごと落とすことになります。逆に、冬に一度も切らなければ、枝は伸びるだけで花の数は増えません。



古い樹皮が剥がれて新しい面が出るサルスベリの幹

まず、どんな木かを見ておきます。


サルスベリはミソハギ科サルスベリ属の落葉樹で、原産地は中国南部です。日本へは室町時代ごろに渡来しました。


放っておくと高さ7メートルほどになりますが、庭木では3メートルから5メートルにおさめて使います。


まっすぐには伸びず、傾いて曲がり、枝を横に広げます。根元から萌芽するので主幹がはっきりせず、何本かの幹で横広がりの樹冠をつくります。


日当たりのよいところでないと、枝の充実も花つきも悪くなります。暖地性で、寒さには強くありません。土質は選びませんが、腐植質に富んで水はけのよいところが向きます。


幹の表面が磨かれたように滑らかで、猿も登れない木として猿滑りと呼ばれた。百日紅という字は、初夏から初秋まで約100日咲き続けることを指しています。


ただし実際のところ、猿は滑らずにすいすい登るそうです。名前の軽やかなユーモアも、この木の魅力のひとつだと思います。


地方によって、笑いの木、なまけの木、くすぐりの木という別名もあります。それぞれに由来があって、読むと木の姿が見えてきます。


くわしくはこちらに書きました。


蝉も猿も実は滑らない!サルスベリ

幹のこと。古い皮が剥がれて、新しい面が出ます。



通路沿いに立つサルスベリの幹

幹をよく見ると、灰色の部分と茶色の部分があります。古い樹皮のコルク層が剥がれ落ち、新しい樹皮が出てくるからです。


茶色が新しい面、浮いて見える灰色が古い皮です。


人の肌が新陳代謝で生まれ変わるのと同じことが、幹の表面で起きています。だから、あの滑らかさは磨いたのではなく、脱いだ結果です。



花のこと。ひとつの花は3日か4日で終わります。


100日咲くと言いますが、ひとつの花が100日もつわけではありません。ひとつの花は3日から4日で枯れます。それでも花期が長いのは、たくさんのつぼみを次々に開くからです。


咲き方は円錐花序といって、枝分かれした先に花をつけ、遠目には円錐の形に見えます。花は7月下旬から10月ごろまで、枝先からもとへ順に咲きのぼります。


花色は赤桃色が一般、紫がかるものもあり、濃淡の変化が多い。白いものはシロバナサルスベリです。


花弁の枚数の話は、こちらに書きました。


花弁は何枚?サルスベリ

剪定です。切り戻す道と、枝を残す道があります。


ここが、この木でいちばん迷うところです。


サルスベリの剪定の二つの道を比べた図

どちらが正しいという話ではありません。何を中心に見るかで、切り方が変わります。


花を中心に見るなら、落葉期に、今年伸びた枝をこぶ状になっているところまで切り戻します。来春その切口から勢いのよい新梢が出て、多くの花をつけます。毎年同じところで切るので、切口がこぶになって残ります。


樹形を中心に見るなら、徒長枝・からみ枝・さかさ枝・幹吹き・ヒコバエだけを切り、小枝の先は切りつめずに枝透かしで整えます。自然の姿は生きますが、多くの花は期待できません。


剪定屋空では、どちらもやります。その庭でサルスベリに何をしてほしいのかを、施主様と決めてから手を入れます。


花を見たい木と、姿を見たい木は、同じ切り方にはなりません。


どちらの道でも共通することが、ふたつあります。


芽が伸びてから先端を切らないこと。


そこに花芽があります。


剪定するのは落葉期。 冬から早春です。夏に強く切ると、その年の花を落とします。



実際の剪定作業の事例は、こちらにあります。


鈴鹿市|庭木剪定 サルスベリ剪定作業事例

一年の暦にすると、こうなります。


サルスベリの一年の作業暦

花が咲くのは7月下旬から10月ごろ。剪定は落葉期。移植は3月から4月が最適で、相当大きなものでも切り込んで移植すればよく活着します。さし木も同じころ、発芽前の前年枝を15センチほどに切って3月にさすとよい。


根元からヒコバエを多く出すので、幹吹きとともに早くかき取ります。放っておくと株が横に広がり、主幹に力が回りません。

肥料は寒肥で足ります。


病害虫のこと。うどんこ病が代表です。


サルスベリでいちばん出るのが、うどんこ病(白渋病)です。梅雨明けごろ、葉やつぼみが白い粉に覆われます。


対処は、風通しの確保と薬剤です。混み枝を透かすことが、そのまま予防になります。ここで剪定と病気の話がつながります。


ほかに、イラガの幼虫が葉を食害します。触ると刺します。カイガラムシ、アブラムシ、ミノムシ、コガネムシも寄生します。


花の後のこと。実は、つぼみではありません。


夏の花が終わると、枝先に丸い緑のかたまりが連なります。まだつぼみかと思われますが、これは実(蒴果)です。


ほぼ球形で直径1センチから1.5センチ。6つの室に分かれていて、それぞれに種が入っています(学名 Lagerstroemia indica)。


秋が深まると焦げ茶色に変わり、先端が6つに割れて、翼のある種子を風に飛ばします。

くわしくはこちらに書きました。


まるでツボミ?花の後はコロンとかわいい実「サルスベリ 実」

紅葉もあります。


花の木として見られがちですが、秋の紅葉も楽しめます。春の芽吹きが遅く、秋に葉を落とすのは早い。それで、なまけの木という別名がつきました。


笑いの木・なまけの木・くすぐりの木…何の木の名前でしょう?紅葉も美しいサルスベリ

庭に植えてはいけない、という話について。

すべるという名前が受験に障る、という俗説を耳にされた方もいると思います。この話は別の記事でまとめてありますので、そちらをご覧ください。


庭に植えてはいけない?その理由は「サルスベリの花」

仲間の木もあります。


シマサルスベリは台湾から屋久島・種子島に自生する高さ10メートルの落葉高木です。樹皮はサルスベリに似ますが白味が多く、幹は直立性で樹冠は卵形に近い。花は小さく紫紅がかった白色で、7月から8月に咲きます。花の美しさはサルスベリのほうが上です。


ほかに、ムラサキサルスベリ(一名コサルスベリ・紫花)、シロバナサルスベリがあります。


サルスベリで迷うのは、切る場所と時期のふたつです。


覚えておくのは一つ。花芽は今年伸びた枝の先につく。これを知っておけば、夏に先端を切らない理由が分かります。


そして、切るのは落葉期。切り戻して花を多く見るか、透かして姿を見るか。そこは目的で選びます。



最終更新: 2026年08月

 
 
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