四日市市の日本庭園定期管理。荒れた庭が、3年でどう変わったか。
- 飯島 一郎

- 4 時間前
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この庭に初めて入ったとき、何か大切なものが失われかけていると感じた。
明治33年(1900年)からある日本庭園尾上別荘。
四日市港に隣接する1,500平方メートルの日本庭園。120余年の時間を、この木々は生きてきた。
それが、人手不足と時代の流れの中で、少しずつ荒れ始めていた。
この庭の、3年前のすがた

石灯籠の周りに落ち葉が積もり、苔はほとんどなかった。低木の葉は黄化し、砂利の間から雑草が伸び放題だった。

庭の木々は生きていた。でも、全体的に暗いイメージでどこか庭木たちも元気がない様子。
砂利の目地に雑草が根を張り、踏み固められた土は石のように硬くなっていた。
根が広がれない。水が抜けない。
菌根菌が機能しない。それが見えない部分での現実だった。
定期管理とは、一年間責任を持って庭に携わること
通年を通して、四日市市の尾上別荘様に通っている。
春は苔庭のリフレッシュと除草。初夏はチーム体制での全体清掃と消毒。夏は砂紋施工と高木管理。冬は菰巻き、松葉敷き、寒肥。そして通年、手取り除草と落ち葉清掃が続く。

年間を通じて同じ庭を見続けることで、初めてわかることがある。先月と今月で、木の表情がどう変わったか。去年の秋と今年の秋で、苔の広がり方がどう違うか。
定期管理とは、記録することだと思う。
砂利は、一粒ずつ手で取る

苔の上に落ちた砂利は、機械で処理できない。手で、一粒ずつ取り除く。
苔の上に道具を入れると、苔は死ぬ。体を低くして、一粒ずつ。1平方メートルに30分かかることもある。
これは非効率ではない。この庭に合わせた、唯一の方法。
土の中で、何が起きていたか
2026年4月7日、専門機関による土壌診断と土中灌注600リットルの施工を実施した。
分析では、土壌の仮比重が1.78という数値が出た。健全な土の目安が0.90〜1.10。石に近い硬さだった。有効態リン酸は基準値の6%、石灰は27%しかなかった。
AM菌根菌分析では、共生率43.4%。健全な樹木が持つ60〜80%の水準を下回っていた。さらに深刻だったのは胞子数で、1グラムあたり0.9個しか検出されなかった(健全値は5〜15個)。菌根菌の再生産力がほぼゼロの状態だった。
土中灌注(フルボ酸・メネデール・木炭粉炭)の施工後、灯籠前の松周辺で深部の硬度が83%改善した(18mm→3mm)。数字が、手応えになった。
緑の色が、深くなった

2023年から定期管理を続けて3年目。庭の表情が、少しずつ変わってきた。
苔が広がっている。葉の緑が濃くなっている。石灯籠の周りに草が増えてきた。
緑の色が深くなったと感じたのは、今年の春のことだった。
これは土の回復の証拠だ。AM菌根菌が機能を取り戻すにつれて、根が深く広がり、水と養分を吸い上げる力が戻ってきている。地上の変化は、地下の変化の後を追う。
この庭にだけある、白い桜のこと
オオシマザクラのひこばえ(根元から伸びた芽)が、白い葉をしている。
葉緑体を作る遺伝子の変異。自力で光合成できないはずなのに、親木の根系から糖とフロリゲン(開花ホルモン)の供給を受けて、白〜薄ピンクの花を咲かせた。2026年4月、初めての開花確認。
定期管理を続けなければ、気づかなかった。通い続けた庭だから、見えた。
剪定屋空は、三重県を中心に庭の年間管理を行っています。
一度きりの剪定ではなく、通い続けること。その庭の変化を記録し続けること。土の回復を一緒に待つこと。
それが剪定屋空のが考える庭の手入れです。







